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優雅と別れた次はAに会った
彼女の手元にも封筒がある
Aは俺を見つけると駆け寄ってきた
要件は毎度のことなのでもう分かっている
｢迅さん今回もおねがい｣
｢はいはーい｣
｢これが忍田さん宛 そっちが家族宛｣
｢俺と太刀川さんには？｣
わざとそう尋ねるとAは笑った
｢必要ないでしょ｣と言って遺書が入った封筒を押し付けてきた
Aが遠征に行くたび俺は彼女の遺書を預かり万が一の場合に届ける役割を担っている
これはAが初めて遠征に行った時からのルーティン
もう何回遠征に行ったか分からなくなっているがAは毎回俺に遺書を預ける
それも今回で最後かと思うと胸が痛んだ
｢なぁA 飯行かない？｣
｢行きたい！…けどなぁー……｣
｢なんか用事でもあるの？｣
｢ううん ちょっと個人練しようと思って｣
恥ずかしそうに頬を掻きながらそう言うA
彼女が個人練習をするだなんて珍しい
ランク戦は好んで行っているが練習にはあまり力を入れていない
彼女くらいの強さになると練習よりも経験を積む方が重要になるからだ
どうしてか尋ねるとAは少し目を伏せた
｢ねえ大丈夫だよね｣
普段と違って弱々しい声色
示しているのは勿論遠征のことだろう
Aは今まで1度も俺に遠征が上手くいくか尋ねたことがなかった
｢もしかして緊張してんのか？
遠征は俺よりAの方が詳しいだろ｣
｢…なんか嫌な予感がするから｣
Aは嫌になるほど勘がいい
だけどそれはサイドエフェクトでない
本当にただ単に勘がいいのだ
きっと生存本能が高いのだろう
｢大丈夫だ 皆無事に帰って来るよ
俺のサイドエフェクトがそう言ってる｣
どうせAは死ぬ 帰ってくることはない
それならできるだけ悩んだり悲しむ時間が短い方がいい
俺がそう言うとAは安心したようにホッと胸を撫で下ろした
俺を信用しているのか
俺のサイドエフェクトを信用しているのか
きっとAの場合 前者だろう
｢遠征から帰ってきたら木崎さんの野菜炒め食べたいから伝えておいて｣
｢おっけー 肉肉肉野菜炒めね｣
｢そうそれ！楽しみだなぁ｣
本当に嬉しそうに頬を緩ませて笑うA
どんな分岐点を辿ってもAがレイジさんの肉肉肉野菜炒めを食べる光景は視えない
俺は上手く笑えているか不安になった
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弓月有無％(プロフ) - コメント失礼致します！！描写力が凄くて過去編まで来て思わず悲涙？落涙してしまいました、ストーリーも迚も読みやすく面白かったです！また気が向いたら更新して下さると嬉しいです、他作品も拝読させて頂きます。無理のない程に頑張って下さい是から応援しております (4月27日 20時) (
レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 更新ありがとうございます！嬉しいです！！ (2022年10月16日 22時) (レス) id: 88c8eec9ab (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 更新してくださり本当にありがとうございます！！めちゃくちゃうれしいです涙 (2022年9月27日 19時) (レス) @page33 id: c4a16c735a (このIDを非表示/違反報告)
仔犬(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年9月25日 20時) (レス) @page32 id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新して下さると嬉しく思います。待ってます。 (2022年5月30日 23時) (レス) id: e6820645c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばぐ
| 作成日時：2020年12月2日 20時
