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妃旗side
単独遠征用の小さな遠征艇から降りると生暖かい風が頬を撫でた
大きく割れた地面と崩壊した都市残骸
あちこちに転がる遺体を見て気分を悪くした彼方さんは遠征艇に戻ってしまった
｢俺らだけで行くか｣
｢そうだね｣
彼方さんが遠征艇に戻ったのを確認してから私たちは歩き出した
人の気配は全くしないしトリオン反応もない
既に終戦済みで生存者はゼロ
データ通り崩壊した都市を私たちは進んだ
地面に転がる無数の遺体
軍人もいれば一般人もいる
遺品を漁ってトリガーがないか確認する
トリガーが遺っていたらラッキー
まあほとんど遺っていない
遠征に行くことに憧れを強く抱く隊員は数え切れないほどいる
こんなことの何処がいいのだろうか
今回のように終戦地に赴き遺品を漁ることなんてマシな方だ
わざわざ激戦地に入り込んで殺し合いに混ざらなければならない時もあった
自らの命を賭けてまですることなのだろうか
｢トリガーみっけ｣
｢よっしゃ 遠征艇に帰るか｣
｢もうちょっと探そうよ｣
｢えー 俺は腹減った｣
見つけたトリガーを腰のベルトに仕舞う
まだ空は明るく遠征艇に戻るには早い
ポケットに入れていた携帯用の菓子を出して優雅に投げ渡した
[Aトリガーは見つかった？]
｢うん ひとつ見つかった｣
[それじゃあ遠征艇で迎えに行こうか？]
｢まだ大丈夫 もう少し探すから｣
[了解 気を付けてね]
インカムから聞こえたマイさんの声
いつも通り落ち着いていて彼女も非日常的な遠征に慣れてしまったのだと痛感した
私は軽く屈伸をして空を仰いだ
雲ひとつない晴天は崩壊した都市とアンバランスでやけに現実的だった
｢行くよ｣と優雅に声をかけて再び進む
私たち以外誰もいない街中にふたつの足音が無機質に響く
時折風が吹いて生臭い匂いが鼻先を掠める
初めて遠征に来た時は耐えられなくてめちゃくちゃ吐いた
彼方さんは吐けないくらい体調を崩して遠征艇で寝込んでいた
彼方さんはともかく私と優雅はすっかり慣れてしまったようだ
｢皮肉なもんだね｣
｢そうだな｣
積み重ねられた遺体の山を見て呟いた
私たちと同い年くらいの少年少女の遺体も見受けられる
せめて火葬だけでもしてあげられたらこの複雑な気持ちも少しはマシになるのだろうか
そんなことを考えながら遺体に手を伸ばした
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弓月有無％(プロフ) - コメント失礼致します！！描写力が凄くて過去編まで来て思わず悲涙？落涙してしまいました、ストーリーも迚も読みやすく面白かったです！また気が向いたら更新して下さると嬉しいです、他作品も拝読させて頂きます。無理のない程に頑張って下さい是から応援しております (4月27日 20時) (
レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 更新ありがとうございます！嬉しいです！！ (2022年10月16日 22時) (レス) id: 88c8eec9ab (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 更新してくださり本当にありがとうございます！！めちゃくちゃうれしいです涙 (2022年9月27日 19時) (レス) @page33 id: c4a16c735a (このIDを非表示/違反報告)
仔犬(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年9月25日 20時) (レス) @page32 id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新して下さると嬉しく思います。待ってます。 (2022年5月30日 23時) (レス) id: e6820645c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばぐ
| 作成日時：2020年12月2日 20時
