･ ページ2
.
慶くんと通路を歩いていると本部室から出ていた迅さんと遭遇した
彼の腰元には普通のトリガーよりも長いトリガーが備えられている
……あれが風刃
迅さんに声をかけるより先に私の視線は黒トリガーに向いてしまった
｢よお迅 やっぱりお前が勝ったな｣
｢いやー結構ギリギリだったよ｣
慶くんと迅さんは世間話をするように淡々と話し始めた
私は何とも言えない空気感に耐えることに必死で話の内容が入ってこない
｢やっぱり｣ってことは慶くんは迅さんが勝つって思っていたようだ
誰だってそうだろうけど少し傷付いた
｢私先に行ってるね｣
｢…なんか用事でもあるの？｣
｢ランク戦してくる｣
私がそう言うと迅さんは笑った
｢頑張れ｣と言って私の頭を撫でた
今日だけで何回頭を撫でられるのだろうか
まるで他人事のような迅さんの言い方に違和感を感じたがすぐに理解した
迅さんは黒トリガーを手に入れたからS級隊員になったのだ
だからランク戦をすることはできない
｢S級隊員｣だなんて聞き慣れない響き
やけに嫌気が差した
･
自然と歩幅が大きくなっていたようで気が付いたらランク戦ブースにいた
相当あの場を去りたかったのだろう
辺りを見渡して相手をしてくれそうな人を探すも残念ながら見つけられない
この前入隊式があったこともありC級隊員の姿が多く見られる
今期は凄い新人が多いって東さんが言っていた気がする
中央のモニターを見るとC級隊員同士の試合が映っていた
弧月の攻撃手と射手の試合
どちらも互角のようでいい展開になっている
2人とも入隊したてのC級なのにここまでやれるとはセンスがいいようだ
｢おつかれさまA｣
穏やかな声色に名前を呼ばれて振り返ると彼方さんがいた
｢ありがとう｣と答えると彼方さんは少し笑うだけで風刃争奪戦の結果は聞いてこなかった
それが今の私には凄く有難かった
彼方さんは私を探してランク戦ブースに来てくれたようだ
そうでもなきゃ狙撃手の彼方さんがここに来る必要がない
一緒にソファに座ってモニターを見た
｢あの子たち新人なのに凄いね｣
｢…スカウトする？｣
｢もう1人くらい隊員ほしいからね｣
現篠田隊の隊員は彼方さんと私そしてオペレーターのマイさんの3人
前々から｢もう1人ほしい｣と話していたところだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 822人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
弓月有無％(プロフ) - コメント失礼致します！！描写力が凄くて過去編まで来て思わず悲涙？落涙してしまいました、ストーリーも迚も読みやすく面白かったです！また気が向いたら更新して下さると嬉しいです、他作品も拝読させて頂きます。無理のない程に頑張って下さい是から応援しております (4月27日 20時) (
レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 更新ありがとうございます！嬉しいです！！ (2022年10月16日 22時) (レス) id: 88c8eec9ab (このIDを非表示/違反報告)
おと(プロフ) - 更新してくださり本当にありがとうございます！！めちゃくちゃうれしいです涙 (2022年9月27日 19時) (レス) @page33 id: c4a16c735a (このIDを非表示/違反報告)
仔犬(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年9月25日 20時) (レス) @page32 id: 8b2aa36d50 (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 続きの更新がなくて寂しいです。更新して下さると嬉しく思います。待ってます。 (2022年5月30日 23時) (レス) id: e6820645c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばぐ
| 作成日時：2020年12月2日 20時
