無限列車へ ページ40
「君こそ、過信するなと言ったはずだ」
煉獄さんが低い声でそう言った瞬間、辺りにピリピリとした重たい空気が流れ始める。
それは鬼も感じ取ったようで、身体を強張らせた。
「……試してみようじゃねぇか。俺がこのババァの喉を切り裂くのが先か、お前が俺の頸を取るのが先か!」
「試すには及ばない。お前は、
__遅い!」
煉獄さんはそう言い切る前に壱ノ型を繰り出し、一瞬で鬼の頸を切り落とした。
そして流れるような美しい動作で、赤い日輪刀を鞘に収める。
『……さすがです、師匠』
「あ、貴方は……救ってくださったのですね。二度も……忘れもしません。そのお顔、羽織……私とフクの母親は、二十年前、貴方に助けて頂きました……」
「お婆ちゃん、何を言ってるの?」
地べたに座り込んだ老人は涙を流しながらそう言い、私と老人に寄り添う少女は首を傾げた。
二十年前……?
煉獄さんは振り返ると、老人に向けて語る。
「それはきっと、俺の父でしょう。俺は父を継いで、鬼を狩っているのです。父と同じように貴方をお守りできたこと、光栄です」
煉獄さんのお父さん。元炎柱の、槇寿郎さんが……
時を越えた奇跡のような偶然を前に、なんだか私まで胸が暖かくなってくる。
無意識に笑みを浮かべていると、隠や隊士が駅内に駆けつけてきた。
「これで万事解決ですね!」
「それは性急すぎるな。四十人以上喰った鬼が、この程度であろうはずがない」
どうやら切り裂き魔は、私達の目を撹乱するための鬼だった可能性があるらしい。
無限列車の乗客達を襲った、より協力な鬼がいることが、新たに発覚する。
「蛍原少女! 君も一緒に来るといい!」
『えっ、私ですか?』
「狭い列車内で鬼と戦う経験は、きっとこれからの役に立つ。それに、“守るための刃”は君の専売特許だろう!」
『っ! ……はい!』
私が大きく頷くと、煉獄さんはニコリと笑ってみせる。
「では明日、無限列車に」
「無論、乗り込む! もう、今日だがな!」
東の空が徐々に明るくなっていき、太陽が昇り始める。
眩しい朝日が私達を優しく照らした。
夕刻。
無限列車の切符を二枚買って煉獄さんの元に戻ると、煉獄さんは先程まではなかった大きな風呂敷を手にしていた。
『ど、どうしたんですか? その風呂敷……』
「弁当だ!」
『弁当って……まさか、全部!?』
「では行こうか! 蛍原少女!」
『はい!』
___ to be continued
137人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅いちご - 続編ですか!!楽しみに待ってますね! (2021年11月6日 22時) (レス) @page41 id: 0ffbfabdee (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2021年11月6日 5時) (レス) @page41 id: 6b2570d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - むつき。さん» コメントありがとうございます! 本編でもこの二人の関係性はしんどいので、今後どう夢主ちゃんと絡ませていこうか悩んでいます(苦笑)無限列車が近づいてきて精神が削られていますが、更新頑張っていこうと思います! (2021年11月4日 22時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 冨岡さんと錆兎さんのシーンにめちゃめちゃぐっと来ました(語彙力)更新頑張ってください! (2021年11月3日 18時) (レス) @page38 id: da60582d52 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - 匿名希望さん» ご指摘ありがとうございます! 本当ですね! 全然気がつきませんでした……ありがとうございます! (2021年10月22日 22時) (レス) @page29 id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年9月22日 15時