【鬼滅の刃】鬼殺隊の狐は絆を紡ぐ

肆ノ型 ページ39

線路を伝って走り続けること数十分。
目的の機関庫に辿り着くと、既にそこには多くの隊士が集まっていた。

煉獄さんは血を流す少年の手当てをしながら、テキパキと指示を出していく。

『師匠！』

「蛍原少女！ 来て貰って早々に悪いが、俺について来てくれ。逃亡した鬼の後を追いかける！」

どうやら切り裂き魔の鬼は逃げ、駅弁売りの人達が狙われているらしい。

煉獄さんは後のことを隊士達に任せると、機関庫から出て線路を走っていく。
私は全集中の呼吸で全身に酸素を行き渡らせながら、煉獄さんの背中を追いかけた。


煉獄さんの背中越しに、一つの駅が見えてくる。
それと同時に鬼の気配も近づいてきた。

『……っ！ 師匠！』

線路の上で、鬼に首を絞められている少女の姿を捉える。

「蛍原少女、鬼を頼む！」

『はい！』

煉獄さんは素早く指示を出すと、道を開けるように線路脇に避けた。
私は日輪刀を構え、大きく息を吸い込む。

『狐の呼吸、壱ノ型 狐火』

鬼は私達の気配に勘づいたのか、間一髪のところで駅のホームへと飛び退ける。
その隙に煉獄さんは少女を抱き起こし、私はホームに飛び乗って続け様に技を繰り出した。

『弐ノ型 管狐』

頸を狙って刀を振るうが、鬼の素早い動きで狙いが定まらず、鬼の頸ではなく肩を切り落とす。

「へっ、おせぇんだよっ！」

『そう言う割には、避けきれてなかったよね。強がりはいいから、早く切られてくれないかな』

「なんだと、てめぇ！！」

私は体勢を低くし、再び日輪刀を構え直す。



『肆ノ型 千本鳥居(せんぼんどりい)・燐火(りんか)』


炎の呼吸壱ノ型を元に生み出した、俊足で直線上の敵を攻撃する技だ。

鬼は目を見開き、慌てて交わす体勢に入る。
日輪刀は鬼の頸に届くが、あと一歩のところで頸を切り落とす前に逃げられてしまった。

「くそ……っ！」

鬼は頸を押さえ、頸の傷を治そうとする。

いける、次で決めてみせる……！

もう一度刀を構えようとした次の瞬間、改札口の奥から白髪の老人が声を上げた。

「フク！」

『っ！』

鬼は老人に視線を向け、ニヤリと口角を上げる。

「こりゃあついてるぜ……！」

マズい……っ！

老人の元へ駆け寄ろうとすると、私の前に現れた煉獄さんが片手で私を制する。

「うむ！ 技の精度が上がっているな！ よくやった。あとは俺に任せるといい！」

『師匠……』

「何がよくやっただ。俺の頸を切れなかったくせに……調子に乗ってんじゃねぇ！」

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