同期の二人 ページ33
炭治郎は嬉々とした様子で、二人を紹介した。
金髪の少年は我妻善逸と言い、雷の呼吸の使い手だという。
私達の同期だというので、多分最終戦別のときに「結婚してくれ」と私の袖を引っ張っていた人だと思う。
ということは、窓の枠に留まっている雀は彼の鎹鴉だろうか?
猪の被り物を被った方は嘴平伊之助と言い、最終戦別の場にはいなかったが、彼も私達と同期らしい。
普段は元気だが、昨日の任務で喉を痛めて、とても静かになっているのだとか。
我流の獣の呼吸を使うらしく、同じ我流の呼吸の使い手として、元気になったらぜひ話をしてみたい。
『個性豊かで賑やかな三人組……いや、禰豆子ちゃんも入れて四人組か。毎日楽しそうでいいなぁ』
「どうせなら、Aも俺達と一緒に行動するのはどうだ? その方が禰豆子も喜ぶだろうし……って、それは無理か。Aは今、炎柱の人にお世話になっているんだよな」
『うん。ひとまず、師匠に認められるまでは煉獄家でお世話になるつもり。……でも、近いうちに炭治郎達との合同任務なんかが来るといいな』
「あぁ。俺もそう思う」
目を細めて柔らかく微笑む炭治郎は、鱗滝さんの元でお世話になっていたときと何も変わっていなかった。
私は微笑み返した後、炭治郎のベッドの脇に置かれた箱に目をやる。
『禰豆子ちゃんは大丈夫? 結構血を流してたけど……炭治郎と同じこの部屋で療養していくの?』
「いや、しのぶさんが禰豆子のために部屋を用意してくれたんだ。本当は側にいてやりたいけど、この部屋じゃ陽光が射すし、善逸も騒ぐだろうから……」
『あははっ、相変わらずだね。もしかしてだけど、善逸は禰豆子ちゃんにも結婚してくれって縋ってるの?』
苦笑を浮かべる炭治郎に対し、私はクスクスと笑いながら問いかける。
炭治郎が頷きかけた、次の瞬間。
『__っ!』
鋭い電撃のような、ピリピリとした音が聞こえた気がした。
室内のはずなのに、後ろから吹き付ける僅な風。
それを肌で感じ、振り返ろうとしたとき。
ガバッ
『……えっ』
「ぜ、善逸!?」
腹部に回された、少年にしては短い腕。
背中にぐりぐりと擦り付けられる金髪。
意思があるのかと思いきや、聞こえてくるのは寝息の音。
私は数秒間硬直した後、ようやく現状を理解する。
『い、いきなり何してるのっ!!?』
多分、突然のことで混乱していたのだと思う。
私は咄嗟に腕を縦に構えて体を捻り、金髪頭の脳天に向けて肘打ちを喰らわせていた。
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紅いちご - 続編ですか!!楽しみに待ってますね! (2021年11月6日 22時) (レス) @page41 id: 0ffbfabdee (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2021年11月6日 5時) (レス) @page41 id: 6b2570d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - むつき。さん» コメントありがとうございます! 本編でもこの二人の関係性はしんどいので、今後どう夢主ちゃんと絡ませていこうか悩んでいます(苦笑)無限列車が近づいてきて精神が削られていますが、更新頑張っていこうと思います! (2021年11月4日 22時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 冨岡さんと錆兎さんのシーンにめちゃめちゃぐっと来ました(語彙力)更新頑張ってください! (2021年11月3日 18時) (レス) @page38 id: da60582d52 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - 匿名希望さん» ご指摘ありがとうございます! 本当ですね! 全然気がつきませんでした……ありがとうございます! (2021年10月22日 22時) (レス) @page29 id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年9月22日 15時