蝶屋敷へ ページ31
禰豆子ちゃんの箱を背負った女性の隠が私の前に駆け寄り、頭を下げる。
「申し訳ありませんが、A様は我々の後についてきていただく形でもよろしいでしょうか?」
『それは別に構わないですけど……どうして“様”づけ?』
隠の女性が言うには、私は柱の弟子であるため、一般隊士よりも少し上の扱いを受けているのだとか。
継子じゃなくても、こんな扱いをされるんだ……。
……様づけ、なんか慣れないな。
呼び捨てか、せめて“さん”づけにしてほしいと頼むが、隠の女性は妥協してくれず、頑なに“様”づけを続けた。
「黙れ黙っとけ!」
「頭突きなら隊律違反にならないはず……はぶぇっ!!」
私が隠の女性と話している間、傷だらけの人に頭突きをしたいと抗議していた炭治郎の顔に石が投げつけられる。
『炭治郎!?』
驚いて石の飛んできた方向を見ると、砂利の石を片手にした長髪の少年がこちらを見据えていた。
「お館様のお話を遮ったら駄目だよ」
ここに来てからずっと思ってたけど、彼、暴力的すぎる……。
見たところ最年少の柱で、相当の実力者っぽいけど……なんとなく、好きになれそうにない。
私が顔をしかめていると、長髪の少年はこちらに向けて私の日輪刀を投げる。
『わっ!』
「早く下がりなよ。お馬鹿さん」
『……っ』
「申し訳ありません時透様!!」
隠の男性が炭治郎を担ぎ、走り出していく。
箱を背負った女性とその後に続いて駆け出したとき、お館様が穏やかな声で告げる。
「炭治郎。珠世さんによろしく」
「っ!?」
珠世さん。
それって、炭治郎の手紙に書いてあった、無惨の抹殺を望んでいる鬼の女性のこと?
どうして、お館様が……。
「ちょっと待って! 今……っ!」
「アンタもう喋んないで!」
炭治郎の言葉は、その後ろを走っていた隠の女性の拳によって遮られた。
私はあわあわとしながら、ボカボカと炭治郎を殴り続ける彼女を止める。
『ちょ、炭治郎も一応怪我人なので……!』
「絶対許さないからね!!」
しばらく走った後。
先程の産屋敷邸ほどではないが、それでも立派なお屋敷が見えてきた。
玄関に入り声をかけるが、誰も出て来る様子がなく、私達は庭の方に回る。
「あ、いる。人いる」
「あれは……そうだ。“継子”の方だ。お名前は……」
庭にはたくさんの蝶が飛んでいて、その幻想的な光景に溶け込むように、一人の少女が立ちすくんでいた。
あの子、確か最終戦別にいた……
「栗花落カナヲ様だ」
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紅いちご - 続編ですか!!楽しみに待ってますね! (2021年11月6日 22時) (レス) @page41 id: 0ffbfabdee (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2021年11月6日 5時) (レス) @page41 id: 6b2570d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - むつき。さん» コメントありがとうございます! 本編でもこの二人の関係性はしんどいので、今後どう夢主ちゃんと絡ませていこうか悩んでいます(苦笑)無限列車が近づいてきて精神が削られていますが、更新頑張っていこうと思います! (2021年11月4日 22時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 冨岡さんと錆兎さんのシーンにめちゃめちゃぐっと来ました(語彙力)更新頑張ってください! (2021年11月3日 18時) (レス) @page38 id: da60582d52 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - 匿名希望さん» ご指摘ありがとうございます! 本当ですね! 全然気がつきませんでした……ありがとうございます! (2021年10月22日 22時) (レス) @page29 id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年9月22日 15時