証明 ページ29
お館様は続け様に、炭治郎が鬼舞辻無惨と遭遇したこと、鬼舞辻無惨の見せた尻尾を逃したくないことを告げる。
柱達は炭治郎を見る目を変え、ほんの少しだけ先程よりも辺りを漂う空気が柔らかくなった気がした。
しかし、それでも傷だらけの人は頑なに反対の意を示す。
「わかりませんお館様。人間なら生かしておいてもいいが鬼は駄目です! 承知できない!」
そう言うと傷だらけの人は日輪刀を抜き、自分の腕を切りつけた。
え……っ!?
「お館様……証明しますよ俺が! 鬼という物の醜さを!」
傷だらけの人は禰豆子ちゃんの箱を踏みつけ、その上に自分の血を落とし始める。
箱の中からは低い呻き声が聞こえてきた。
「不死川、日向では駄目だ。日陰に行かねば鬼は出てこない」
蛇の人に言われ、傷だらけの人はお館様に断りを入れて箱を片手に屋敷の中へと飛び移った。
「やめろおおぉっ!!」
蛇の人は肩肘で炭治郎を押さえつけ、傷だらけの人は再び箱に刀を突き刺した。
『炭治郎! 禰豆子ちゃ……いっ!!』
突然、怪我をした右手の指に激痛が走る。
横目で確認すると、私の右隣に座る長髪の少年が私の手を掴んでいた。
的確に、包帯が巻かれた指の間接の辺りを狙って。
私が痛みで顔を伏せている間にも、傷だらけの人は箱を刺し続ける。
そしてついに、禰豆子ちゃんが立ち上がり、箱から姿を現した。
『っ! ……して、離して、くださいっ! 禰豆子ちゃんがっ! ぐぅっ……!!』
「時透少年」
「動こうとしているから、押さえているだけです」
「……蛍原少女。指の怪我は君が思っている以上に深いものだ。指を押さえられた状態で動こうとすれば、肉が裂けてしまうぞ」
『うっ……!!』
煉獄さんの言葉が比喩などではないことは、その強烈な痛みですぐにわかった。
痛みで顔が歪み、額に汗が滲むが、それでも屋敷内の二人を睨み続ける。
それは私だけでなく、炭治郎にしても同じことだった。
「竈門君。肺を圧迫されている状態で呼吸を使うと、血管が破裂しますよ」
「指の裁断に血管が破裂? いいなぁ、響き派手で! よし行け! そのままやっちまえ!」
「Aちゃん……」
「可哀想に。なんと弱き哀れな子供……南無阿弥陀仏……」
『禰豆子、ちゃん……っ!!』
「うああああっ!!」
次の瞬間。
炭治郎は両手を拘束していた縄を引きちぎり、いつの間にか二人の後ろに立っていた冨岡さんが蛇の人の腕を掴んだ。
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紅いちご - 続編ですか!!楽しみに待ってますね! (2021年11月6日 22時) (レス) @page41 id: 0ffbfabdee (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2021年11月6日 5時) (レス) @page41 id: 6b2570d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - むつき。さん» コメントありがとうございます! 本編でもこの二人の関係性はしんどいので、今後どう夢主ちゃんと絡ませていこうか悩んでいます(苦笑)無限列車が近づいてきて精神が削られていますが、更新頑張っていこうと思います! (2021年11月4日 22時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 冨岡さんと錆兎さんのシーンにめちゃめちゃぐっと来ました(語彙力)更新頑張ってください! (2021年11月3日 18時) (レス) @page38 id: da60582d52 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - 匿名希望さん» ご指摘ありがとうございます! 本当ですね! 全然気がつきませんでした……ありがとうございます! (2021年10月22日 22時) (レス) @page29 id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年9月22日 15時