お館様 ページ27
煉獄さんは正面から私に歩み寄ると、刃を握る私の手首を強く掴んだ。
「手を離せ。指の傷も深い。刀を握れない手になってしまうぞ」
『……っ！』
初めて、恩人であり師匠でもある煉獄さんの顔を睨み付けた。
しかし煉獄さんは狼狽えることなく、神妙な顔で告げる。
「俺は世の理よりも、己の目で見たものと弟子の言葉を信じたい。……今ここで君が抵抗の意を見せれば、君の努力も、君の弟弟子の努力も全て無駄になるぞ」
『……いっ！』
煉獄さんは私の一瞬の動揺を見逃さず、私の腕を捻る。
その痛みで日輪刀を手放すと、煉獄さんは優しい手つきで私の指にできた傷の具合を見る。
煉獄さんは鎹鴉の要を呼び、要が落とした包帯などで私の手を簡単に手当てし始める。
『……師匠』
「なんだ？」
『……すみませんでした。それと、ありがとうございます』
俯き気味にそう言うと、煉獄さんは柔らかく微笑んで頷いた。
傷だらけの人は自分の日輪刀を拾い上げ、刃についた血を振り払って鞘に納める。
炭治郎は禰豆子ちゃんの箱の前から離れようとしないが、チラチラと心配そうな視線をこちらに向けてきた。
一通り手当てが終わると同時に、屋敷の中から高い声が聞こえてくる。
「お館様のお成りです」
私は煉獄さんに怪我をしていない方の左手を引かれ、柱達が横一列に並ぶ中、煉獄さんと浅葱色の瞳の少年の間に座らせられた。
屋敷の奥から、最終選別の時に見た顔のよく似た二人に支えられた一人の男性が歩いてくる。
「よく来たね。私の可愛い
額から目の下にかけて広がる、肌が焼けただれたような痕。
なんとなくではあるが、この人が“お館様”であると悟った。
優しい声色を持つお館様に見とれていると、炭治郎を砂利に押し付けた傷だらけの人が丁寧な口調でお館様に挨拶をする。
「畏れながら、柱合会議の前にこの竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士について、ご説明いただきたく存じますがよろしいでしょうか？」
「そうだね。驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めてほしいと思っている」
柱達の動揺が伝わってくる。
勿論私も例外ではなく、驚愕を露にお館様を凝視していた。
お館様が、容認していた？
それは嬉しいことだけど、どうして……？
柱達は各々の意見を述べていくが、やはり反対の意を示す人の方が多い。
「鬼を滅殺してこその鬼殺隊。竈門、蛍原、富岡、三名の処罰を願います」
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紅いちご - 続編ですか！！楽しみに待ってますね！ (2021年11月6日 22時) (
レス) @page41 id: 0ffbfabdee (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2021年11月6日 5時) (レス) @page41 id: 6b2570d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - むつき。さん» コメントありがとうございます！ 本編でもこの二人の関係性はしんどいので、今後どう夢主ちゃんと絡ませていこうか悩んでいます(苦笑)無限列車が近づいてきて精神が削られていますが、更新頑張っていこうと思います！ (2021年11月4日 22時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 冨岡さんと錆兎さんのシーンにめちゃめちゃぐっと来ました（語彙力）更新頑張ってください！ (2021年11月3日 18時) (レス) @page38 id: da60582d52 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - 匿名希望さん» ご指摘ありがとうございます！ 本当ですね！ 全然気がつきませんでした……ありがとうございます！ (2021年10月22日 22時) (レス) @page29 id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉いろは | 作成日時：2021年9月22日 15時
