【鬼滅の刃】鬼殺隊の狐は絆を紡ぐ

裁判 ページ25

柱達による、炭治郎の裁判が始まった。

蝶の髪飾りをつけた女性に水を飲ませてもらった炭治郎は、必死に禰豆子ちゃんの潔白を主張する。
しかし柱達が炭治郎の言葉に耳を貸すことはない。

「くだらない妄言を吐き散らすな。そもそも身内なら庇って当たり前。言うこと全て信用できない。俺は信用しない」

「あぁ……鬼に取り憑かれているのだ。早くこの哀れな子供を殺して、解き放ってあげよう」

……やっぱり、あの人は先生じゃない。
あんなに私達に良くしてくれていた先生が、冗談でも「子供を殺す」なんて言うはずがない。

「聞いてください！ 俺は禰豆子を治すために剣士になったんです！ 禰豆子が鬼になったのは二年以上前のことで、その間禰豆子は人を喰ったりしてない！」

『私も……！ 最終選別から帰ってきた日、禰豆子ちゃんが目を覚ましてから、十五日間ほど同じ屋根の下で過ごしました！ 禰豆子ちゃんが私に襲いかかってきたことは一度もありません！』

「Aちゃんの言うことなら、信じてあげたいけど……」

私は炭治郎の傍らで必死に訴えるが、柱が私達を見下ろす目つきは険しいままだった。
それは煉獄も例外ではない。

……なんで、どうして信じてくれないの？
確かに鬼は憎い存在だ。私の大切な人の命を幾度も奪ってきた。

でも、禰豆子ちゃんは違う。
獣のようにむやみやたらに人間に襲いかかる、倒すべき鬼じゃないのに＿＿！


「おいおい、なんだか面白いことになってるなァ」

炭治郎が必死に叫んだその時。
庭の奥から白髪で傷だらけの男性が現れた。
彼の手には、禰豆子ちゃんが入っているであろう箱が握られている。

「鬼をつれた馬鹿隊員はそいつかいィ？ んでェ、お前は何なんだァ？」

「蛍原A。鬼をつれた隊士、竈門炭治郎の姉弟子だ。弟弟子同様、鬼を庇っている」

傷だらけの人にギロリと睨まれて怯んでいると、蛇を巻いた人がそう答える。
すると傷だらけの人は、わかりやすく眉間に皺を寄せた。

「てめぇら……一体全体どういうつもりだァ？ 鬼が何だって？ 鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ？ そんなことはなァ……


＿＿ありえねぇんだよ馬鹿がァ！！」

「っ！！」

『禰豆子ちゃん……っ！！』

傷だらけの人は自分の日輪刀を、勢いよく箱に突き刺した。
箱の中からは僅かに禰豆子ちゃんの呻き声が聞こえ、箱からは血が滴り落ちる。

『炭治郎っ！？』

炭治郎は傷だらけの人の前まで駆け寄り、険しい表情で彼を睨み付ける。

よほど鬼に→←柱

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