謝罪と償い ページ11
肩の怪我に響くほどの大声を上げ、狼狽しながら茜を凝視する。
『腕にって、柱……っ、煉獄さんに噛みついたの!?』
「大丈夫デスゥ、タダノ甘噛ミデスゥ!」
『甘噛みでもそんなことしちゃダメだよ!!』
どうしよう。
万が一、茜が噛みついたことで煉獄さんが腕を負傷していたら。
鎹鴉(狐)を通しての怪我も、隊律違反になるのかな?
私、鬼殺隊から追放されるんじゃ……。
両手を顔に添えて青ざめていると、ドタバタと大きな足音が聞こえてきた。
なんとなく足音の主を察し、逃げ出したい衝動を堪えて身構える。
足音が部屋の前で止まると同時に、障子が勢いよく左右に開かれる。
「蛍原少女!!」
『すみませんでしたっ!!』
「むぅ?」
煉獄さんに劣らないほどの大きな声で謝罪し、綺麗な土下座を決める。
「ナンデゴ主人ガ謝ルンデスゥ? 悪イノハコイツデアッテ、ゴ主人ジャ」
『茜!』
頭を下げたまま、茜の口を抑えて抱き寄せる。
『本当に申し訳ありませんでした。助けて頂いたにも関わらず、煉獄さんの腕に傷を負わせるような真似をして……なんと謝罪すればいいのかわかりません』
恩知らずな行動で、柱を怪我させた。
それは私だけでなく、育手の鱗滝さんの顔にも泥を塗ったことになる。
最悪だ……っ。
「顔を上げてくれ、蛍原少女!」
畳に額を擦り付けるほどに頭を下げていると、ふいにそう声が投げ掛けられる。
恐る恐る顔を上げると、煉獄さんは穏やかな笑顔でこちらを見下ろしていた。
「謝罪しなければいけないのは俺の方だ! 事態の詳細まで把握せず、頭ごなしに君を叱ってしまった。柱として不甲斐ない」
『いえ、そんな……!』
「君の狐から全て聞いた。あの時、君は応援を呼べない状況にあり、その場に留まらなければいけない理由があったのだと。人を守るために命がけで闘っていた隊士を己の早とちりで責めるなど、言語道断! どんな償いをすればいいのかわからない!」
煉獄さんはそこまで述べると、ぐいっとこちらに顔を寄せる。
燃えるような赤い瞳に捉えられて戸惑っていると、煉獄さんははきはきとした声で言う。
「そこで蛍原少女! 君を俺の継子にしようと思う!」
『……はぇ?』
私の口から、言葉にならない声が溢れる。
私が、炎柱の……煉獄さんの継子に?
「うむ! 炎の呼吸を使う君を、俺が次期炎柱として鍛えてやろう!」
『炎の呼吸……私が?』
どうやら私達の間には、もう一つの誤解が生じているらしい。
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紅いちご - 続編ですか!!楽しみに待ってますね! (2021年11月6日 22時) (レス) @page41 id: 0ffbfabdee (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧ (2021年11月6日 5時) (レス) @page41 id: 6b2570d7e2 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - むつき。さん» コメントありがとうございます! 本編でもこの二人の関係性はしんどいので、今後どう夢主ちゃんと絡ませていこうか悩んでいます(苦笑)無限列車が近づいてきて精神が削られていますが、更新頑張っていこうと思います! (2021年11月4日 22時) (レス) id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
むつき。(プロフ) - 冨岡さんと錆兎さんのシーンにめちゃめちゃぐっと来ました(語彙力)更新頑張ってください! (2021年11月3日 18時) (レス) @page38 id: da60582d52 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉いろは(プロフ) - 匿名希望さん» ご指摘ありがとうございます! 本当ですね! 全然気がつきませんでした……ありがとうございます! (2021年10月22日 22時) (レス) @page29 id: cba06c9064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉いろは | 作成日時:2021年9月22日 15時