【鬼滅の刃】鬼殺隊の狐は絆を紡ぐ

手紙 ページ2

炭治郎、手紙ありがとう。

まずは初任務の達成おめでとう。
一晩で鬼を退治できるなんて、やっぱり炭治郎は凄いね。
禰豆子ちゃんもお疲れさま。
鬼が鬼と戦うなんて正直信じられないけど、ともかく二人に大きな怪我がなくてよかったよ。

浅草では大変だったね。
鬼の始祖、鬼舞辻󠄀無惨。
無惨の抹殺を望む珠世さんと愈史郎さん。
そして、炭治郎の首を狙って現れた２体の鬼。

手紙を読んでる私でも、怒涛の登場に混乱したくらいだもん。
実際にその場に立ち会った炭治郎は、私よりも驚いたはずだよね。

鬼の血液採取の件、勿論私も協力するよ。
鬼を人間にもどす治療法、早く確立できるといいね。
同封されていたこのナイフを、鬼の体に刺せばいいんだよね？
まかせておいて。

……って言いたいところなんだけど。
情けない話、私、実はまだ初任務さえも達成できていないんだよね。

照久山に潜む、麓の人間を攫っている鬼。
その鬼さえ倒せば解決だと思ってたんだけど、事態はそう単純じゃなかったみたい。

照久山には例の人間を攫う鬼のほか、大量の雑魚鬼が放浪していたの。
毎晩数十体の鬼を倒しながら山奥に進んで行ってるんだけど、まだ例の鬼と対峙することすらできていないんだ。

これはまだ憶測なんだけど、今回の鬼は人間だけが狙いじゃないのかも知れない。
何らかの理由があって鬼を求め、鬼を引き寄せる類いの異能を持っているんだと思う。

先日、やっと例の鬼がいるであろう屋敷を見つけたの。
だから今夜、今からその屋敷に乗り込んでみる。

必ず鬼を倒して、血を採取してみせるね。

それじゃあ、炭治郎も気をつけて。
またね。




『……よし。じゃあこれ、炭治郎のところまでよろしくね』

文を包んだ風呂敷を茜の首に巻き、毛並みの向きに沿って頭を撫でる。

「ゴ主人、本当ニ応援ヲ呼バナクテイインデスゥ？」

『大丈夫。放浪してる鬼は皆大したことはないし、任務の鬼も十二鬼月ほどではないと思うから』

そう。
今回の鬼は、十二鬼月ではない気がする。

これまでに鬼に攫われたという麓の人間は四人。
不謹慎ではあるが、相手が十二鬼月ならもっと多くの人間が喰われていてもおかしくはない。

……人を攫い、自分以外の鬼達を呼び寄せている鬼。
いったい、何が目的なのだろう。

「……例エゴ主人ガソウ言ッテモ、危険、無謀ダト判断スレバ応援ヲ呼ブ。ソレガアーシノ勤メデスゥ」

『ははっ、なら私は茜に見放されないよう、精一杯頑張らなきゃね』

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