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どかっと椅子に座るスモーカーに、男は不躾にそう話しかける。スモーカーはというと、白い息を吐いて不敵に笑い、

スモーカー「持っていきゃいいだろ。」

と、告げた。
その言葉に男は一時停止した後、瞬きをしてスモーカーに向かって歩き始める。

すぅっと男は息を吸いながらスモーカーの葉巻に自らの煙草を近づける。
…しかしなかなかつかない。息が合わないのだ。

何度も息を吸って、何度も煙草に火を移そうとするが、向こうが吐くタイミングで、なかなか火をつけることが適わない。

『…意地悪しないでくれないか。』

スモーカー「俺が合わせる義理はねェ。」

眉をひそめつつ煙草と葉巻の先をくっつけては吸うを繰り返す。
…火がやっとついた。そうすれば男は、得意げな表情を浮かべ、口の端を吊り上げながら紫煙を燻らせる。

スモーカー「…そのままのテメェでも、いい顔をする。」

スモーカーは満足気に笑い、煙を深く吐いた。
男は、それを聞いてか聞かずか。スモーカーの座る椅子の肘掛に腰を下ろす。

『…スモーカーさんは昔から…意地は悪かったが、いい人だったよ。今もいい人だ。
まぁ、煙草の趣味なんかは合わないがな。』

そう言って愉快そうに笑い、男は何か思い出すように目を閉じる。

『…そろそろ時間だな。たしぎちゃんが薬を持って慌ただしくこの部屋の前を通るだろう。』

スモーカー「じゃあ、その姿のお前ともお別れって訳だな。」

そうスモーカーが告げると、男は頬をかきながら少し視線を上にあげる。

『…まぁ、お別れっていうか…俺は未来であって…なんて言ったらいいか。

……まぁ、しばらくは会えないな。また会うとしたら30年後の未来だ。』

スモーカー「くたばってねぇといいがな。」

そんな軽口に男は「シャレにならない」と笑いながら扉の方へ振り返らずに歩いていく。





たしぎ「Aさーーん!!居られますかー!!!」

スモーカー「……ったく、騒がしいなアイツの周りは…」

スモーカーは、煙を吐いて短くなった葉巻を灰皿にそっと置く。そして、その煙に紛れるかのようにその場から姿を消した。

"嫌だ"って→←〇



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作者名:みるつき | 作成日時:2022年9月27日 7時

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