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頂上戦争:息子 ページ3

もちろん、海賊たちは行方を阻む。
だから、そこをどいて欲しい。そう願えば、バタバタと海賊たちは道を開けてくれる。

『…白ひげの親父。こんなところでの再開になってしまいましたね。』

そう船首の奥から声をかければ、白ひげは理解を示してこちらに振り向くことなく話を続けてくれた。
…丁度海軍から見えない位置に立っていることに、気がついているのだ。

白ひげ「何の用だ?今、ここで海軍から寝返る気になったか?」

『いえ、私はあなたの傘下の海賊たちをかなりの数、屠った。私は、自らの欲に従ってここへきた。…船上に残っていたあなたの部下たちも気絶させてしまった。申し訳ない。』

白ひげは謝罪のために来たのか?それとも、俺を殺しに?と問うたので、それは違う。と明確に否定する。

『私はただ、エースに対するあなたの言葉がほしい。』

白ひげ「言葉?そんなもんくれてやって何になる?」

赤き鎧の男は、そっと懐から黄金の杯を手に取って、その縁を撫でた。

白ひげ「…そりゃあ…」

ちらりとこちらを見た白ひげは、驚いたように目を見開いて一言だけ漏らした。

『…聖杯。我がブリテン島にて騎士王が求めたその物だ。これは、我が友人の命と引き換えに賜ったもので、本来騎士王の手の中に納められていたものだったが…

…我が王は、私にそれを授けた。』

聖杯、それはどこかの国の王の傷を癒した杯。それ以外にも伝承は様々。ただ1つ言えることは…

運命を変えかねない巨大な力を持つ遺物であるということ。

『私の欲。それは、エースを救いたい。』

やっていることと言っていることの矛盾した男は、それを気にさせないほどの笑顔を見せる。
そして、ふっと笑顔を消して、言葉が欲しい。と再び願望する。

『あなたは、エースにどうしてもらいたい。生きてもらいたいか。』

白ひげはしばらく考えているのか、無言を貫いたままで、ゆっくりと返答を返す。

白ひげ「……そりゃあ、息子にゃ生きて貰いてぇもんさ。でなきゃ、ここにいねぇ。」

『…その言葉で十分。ありがとう、白ひげの親父。』

ふっと笑みを浮かべた白ひげは、赤き鎧の男が去る予感を感じて、ひとつ、声をかける。

白ひげ「…お前は、あの謎多き島、ブリテンの王を囲う円卓の騎士ってやつだろう?その何名かはこちらでも把握されている…

…お前の名を聞かせてくれ、俺の息子よ。真の名を、教えてくれ。」

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作者名:みるつき | 作成日時:2022年9月27日 7時

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