地位の消失 ページ45
「皆が言いたいことはわかる。今の言葉はこの王国の均衡を崩す言葉だ。だがどうだろう、彼が騎士団に入れば、この国はより安全に豊かな暮らしができる」
また民衆がザワザワと話し始めた。「確かに精霊の力があれば他国など」「だがあんな子が騎士団の主軸となるのは」「将来王位を継ぐ可能性もあるのでは」。
いやいやいや!!待って!?他国とかあんの?来んの?!ってそれよりも王位継ぐって何!?知りませんが!
民衆をざわめきを聞いて顔を青くするA。そう言えば、ギルドマスターが魔力量で優劣が決まる風習が根底にある、みたいなことを言っていた気がする。
「残念ながら王位は私が受ける。ともかく、皆は信じてくれただろうか?彼が魔王と契約できる器であると」
民衆は沈黙し頷いた。ウンディーネが未だ浮いている事実があるのだから信じざるを得ないからだ。
「それから、皆が気になっているであろう魔王との契約だけど、内容はひとつだ」
『互いに干渉しない』。魔王が提案した契約。
「私たち人間は魔界に行かない、そしてこの国を出て魔族討伐に行かない。代わりに魔族もこの国を襲わない。その契約を破って魔族がこの地へ来た場合、Aを含め王国騎士団が容赦なく殲滅する。皆が契約を破り魔界へ行っても、私たちは助けに行かない。そう取り決めた」
そうエルが言うと所々で声が上がった。魔族を信用できないって声が多かったけれど、エルが黙らせた。
「少なくとも次期魔王を殺すまで追い詰めたAがいる限り、契約は守られる。Aの跡継ぎが生まれればより強い者になるだろう」
え!待って跡継ぎとか知りませんが!?話が大きくなり過ぎでは!?
とエルへ顔を向けるが、エルはこちらを向いて微笑んだ。黒い笑顔だった。もうやだこの王子怖い。
「それから、契約の結果として『勇者』の地位が消えることになるけど、今勇者を生業としている者には新たに、騎士としてこの国を守る手助けをしてほしい」
王国騎士団に入ることは、この上なく栄誉なこと。
レンドルア王国の設定として、おじいちゃん神様の本にそんなことが書いてあった。魔物の他にも他国が戦に来ることある。騎士団は今までの戦闘では負けなし、この王国を守ってきた。
民衆から上がった雄叫びがそれを証明している。
一先ず、契約と地位の消失による反乱は起きなさそうだ。
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埋夜冬(プロフ) - 千々さん» 最後までお読み下さりありがとうございます!!!もう本当にありがとうございます!超絶励みになってました!(語彙力) 主人公くんに万が一飽きると魔王様が攫う気満々ですが、その前にエル様がガードしにきます。玩具を取られたくないからね!!ガードが多いね主人公! (2021年3月13日 11時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 完結おめでとうございます! とても面白かったです! やっぱりファルの主人公に対する執着がいいなあと思いました。そしてファルが主人公に飽きる日は来ないらしいですが、もしそんなことになったら私が主人公を守りにいきます(( 本当にお疲れさまでした! (2021年3月13日 11時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます!!作者は更新時間まばらですが、これからも精一杯頑張らせていただきます!今後もよろしくお願いします! (2020年8月26日 12時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 続編おめでとうございます! とても楽しくお話を読ませていただいています! 楽しいお話の中にちりばめられた謎がとても気になって……! これからも読ませていただきます! 続きを楽しみにしていますね! (2020年8月26日 8時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» ありがとうございます!予定では続編でちゃんと終われるはず!頑張りますのでお楽しみに!コメントありがとうございます! (2020年8月26日 5時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2020年8月25日 23時