契約 ページ42
｢エル王子！2人とも、大丈夫なの？｣
｢ウンディーネ様が治してくれたよ。浄化や回復は水属性の派生だからね。時間をかけてしっかり回復させてくださった｣
エルが言いながらAの横に来る。
やっぱり、ウンディーネが召喚してすぐにエル達のところに行ったのは傷を治すためだったのか。僕にやってくれたように。
｢それで？あのノヴァーレとか言うのは、次期魔王なんだね？｣
エルがヴァステリスに目を向けると、ヴァステリスも頷いた。
｢左様。ノヴァーレは儂が引退したら魔王になる。だが儂はまだ引退せんからな。血の気が多いモンには任せておけん｣
さて、とヴァステリスは持っている杖で地面を叩いた。
｢人の王子よ。お主は知っているな、正しい過去を｣
｢ええ。王族は皆、魔族と人が共生していた歴史を学びます。学んだ上で、悪としています｣
王族の闇の真実。ファルもAも目を大きく見開いた。
｢それは何故じゃ｣
｢報復を恐れているからです。土地を奪った報復で街を血と火の海にされると｣
自分勝手だ！
エルの話を聞いて一番に思ったことがそれだった。奪っておいて報復が恐いから、悪だと言って討伐させる。なんて欲深い！
｢人の王子、儂と契約をせんか？｣
｢契約、ですか｣
トン、とまた杖が地面を叩く。ポンッと音がして空中に紙が現れた。
｢儂ら魔族はこの地で暮らそう。人族にも干渉しない。代わりにお主たちも
紙にも同じことが書いてあった。悪い話ではない。むしろ良心的だ。
エルは悩んでいる様子だった。
｢まずひとつ。魔族が人を攻撃してきた場合と、人がまた討伐に来た場合はどう致しましょう｣
｢そうじゃの、魔族が襲撃したら儂が止めに行こう。人は壁を越えぬとこちらに来れんからなぁ、こちらに来たならばこちらで自由にさせてもらう｣
要は人が討伐に行く場合、自分の責任というわけだ。分かりやすい。
｢なるほど。ではもうひとつ。こちらの"勇者"の地位が消えます。その為反乱の可能性もある。だから決定権は私ではなく、彼でも良いでしょうか｣
エルが彼と指したのは、Aだった。
ファルもヴァステリスも、もちろんAも『は？』と顔を向ける。
エルだけはいつもの笑顔を浮かべていた。
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埋夜冬(プロフ) - 千々さん» 最後までお読み下さりありがとうございます！！！もう本当にありがとうございます！超絶励みになってました！(語彙力) 主人公くんに万が一飽きると魔王様が攫う気満々ですが、その前にエル様がガードしにきます。玩具を取られたくないからね！！ガードが多いね主人公！ (2021年3月13日 11時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 完結おめでとうございます！ とても面白かったです！ やっぱりファルの主人公に対する執着がいいなあと思いました。そしてファルが主人公に飽きる日は来ないらしいですが、もしそんなことになったら私が主人公を守りにいきます(( 本当にお疲れさまでした！ (2021年3月13日 11時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます！！作者は更新時間まばらですが、これからも精一杯頑張らせていただきます！今後もよろしくお願いします！ (2020年8月26日 12時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 続編おめでとうございます！ とても楽しくお話を読ませていただいています！ 楽しいお話の中にちりばめられた謎がとても気になって……！ これからも読ませていただきます！ 続きを楽しみにしていますね！ (2020年8月26日 8時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» ありがとうございます！予定では続編でちゃんと終われるはず！頑張りますのでお楽しみに！コメントありがとうございます！ (2020年8月26日 5時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年8月25日 23時
