こうして、勘違いはファルだけではなくなってしまった ページ5
｢Aは、俺と会った時から外の森で過ごしていた｣
外の森。つまりはモンスターや魔族がウヨウヨいるこの森だ。オリオンは、初めて聞くAのことに興味を持っていた。
Aはあんなにほわほわしているのに、ファルはそんなAを守っている。何故なのかとても気になっていたが、やっとそれが明かされるとなると自然と前のめりになった。
｢怪我をして生死の間を
魔力は有り余っているのに魔法を使っている様子はない。食卓に出るのは薬草と魚とココナットゥのみ。それも魚が出るのは捕れた時だけだ。今までどうやって生きてきたのか、なぜ一人なのか。
｢自分が有り得ない量の魔力を持っていることも、スキルがあることも、自分を守る術も、金の価値すら知らなかった｣
そんな状態で、どうやってあの森で過ごしてきたというのか。オリオンは眉を寄せる。
モンスターはある程度結界でどうにか出来るとして、自分の魔力も分からないとは何なんだ。
｢俺は一度聞いたことがある。Aの家族はどうしているのか｣
忘れもしない。聞いた時にピクリと震えたその体に、気付かないわけがなかった。どう言葉にするか迷っていたあの困り顔ははっきりと記憶に残っている。
『えっと･･･父さんと母さんは物心つく前に死んじゃって、おばあちゃんが育ててくれたんだ。でもおばあちゃんも1年前に亡くなって･･･』
つまりは親はおらず、1年ほどずっと一人で暮らしていたのだ。危険と隣り合わせの森で。防御の魔法も知らずに。たった1人で。
｢だから、離れないよう傍にいようと誓った｣
助けてもらった恩もある。"あの契約"をしたのは会ってすぐだが、そんな時系列までしっかり教えなくとも良いだろう。彼らが知らなくてもいい事だ。
きっとこれで、『Aと離れられないようになる』契約とでも思っていることだろう。それでいい。好都合だ。
｢あんなに明るいのに、幼くして家族を亡くしたのか･･･｣
いやこれ設定なんで実際何にも知りませんし家族とかいませんし本当に寂しくなくてですね？
なんてツッコむ人間は、ここにはいなかった。
オリオンの言葉に皆が暗くなる。オリオンだって、英雄である父を亡くしたのは成長してからだ。
こうして、勘違いはファルだけではなくなってしまった。
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埋夜冬(プロフ) - 千々さん» 最後までお読み下さりありがとうございます！！！もう本当にありがとうございます！超絶励みになってました！(語彙力) 主人公くんに万が一飽きると魔王様が攫う気満々ですが、その前にエル様がガードしにきます。玩具を取られたくないからね！！ガードが多いね主人公！ (2021年3月13日 11時) (
レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 完結おめでとうございます！ とても面白かったです！ やっぱりファルの主人公に対する執着がいいなあと思いました。そしてファルが主人公に飽きる日は来ないらしいですが、もしそんなことになったら私が主人公を守りにいきます(( 本当にお疲れさまでした！ (2021年3月13日 11時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 千々さん» ありがとうございます！！作者は更新時間まばらですが、これからも精一杯頑張らせていただきます！今後もよろしくお願いします！ (2020年8月26日 12時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 続編おめでとうございます！ とても楽しくお話を読ませていただいています！ 楽しいお話の中にちりばめられた謎がとても気になって……！ これからも読ませていただきます！ 続きを楽しみにしていますね！ (2020年8月26日 8時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ふわふわありすさん» ありがとうございます！予定では続編でちゃんと終われるはず！頑張りますのでお楽しみに！コメントありがとうございます！ (2020年8月26日 5時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埋夜冬
| 作成日時：2020年8月25日 23時
