46冊目 ページ6
あれから湊はたまに伸ばした手を見つめている。あの時手を伸ばしていれば何か変わったのかな、とか。叶わないのは分かっているけど。
そんな中だが、今日は凛音との最後の話し合いだ。この話し合いが終わると本格的に出版への準備になる。今日は凛音の漫画のネーム確認をすることになっている。凛音が出す漫画は重要なシーンを詰め合わせた1巻のみの構成だ。起承転結をはっきり分けて描く。
もっと濃厚に読みたいなら小説も同時購入してね!という仕組みだ。
「
つまりは凛音も、湊の小説が気に入ったのだ。
やはり、湊の小説のファンが増えたら嬉しい。
ちょうどその時インターフォンがなる。今日は紅葉さんも一緒に話し合いに参加するので、湊はしっかり話せる気がしない。会ったことがない人とは基本的に話したくない。気を遣うのがめんどくさい。
「やっほーA!会いたかったよ!会えなくて寂しかったぁ!早くAに会えるから、ネームの作成頑張っちゃった!褒めて!」
「わ!?凛音、久しぶり!ネーム頑張ってくれてありがとう!よしよし」
扉を開けた瞬間に抱きついたのはいつもの凛音だった。その後ろにいたのは、長い黒髪を揺らしヒールを鳴らすメガネを掛けたの美人。
この人が紅葉さんか、と湊は思う。Aに聞いていた通りキャリア・ウーマンな雰囲気だ。
「時ヶ瀬さん、甘やかさないでください。むしろムチ打ってもらわないとこれ以降の仕事しそうにないんです」
「うるさい紅葉!僕が頑張ったのはこのためだし!しそうにないんじゃなくて、するための活力が無いんだよ!無いからやらない!」
Aを抱きしめつつフンッと紅葉から顔を背けたことで紅葉の額に青筋が立つ。湊の目には背後に般若が見えるが、気のせいだろうか。
「駄目だよ凛音、受けた仕事はきっちりやらないと。俺、凛音の漫画の新刊出るの毎回楽しみにしてるのに、もう描いてくれない?」
「……むぅ、Aがそういうならちゃんとやるよ」
それを聞いたらしい紅葉さんから般若が消える。落ち着いたらしい、良かった。
「九条湊先生ですか?初めまして、私、凛音の担当を務めています、
「あ、えっと……九条湊です。初めまして」
挨拶はこんな感じでいいのだろうか。最近Aとしか会話してないから心配になってきた。
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!返信遅れてごめんなさい!キュンキュン出来ていたなら良かったです(*´ω`*) (2019年12月14日 13時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう最後までキュンキュンしながら読ませて頂きました〜!!この2人には、これからも永遠に幸せでいて欲しいです!!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年12月13日 22時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゼロさん» 返信遅くなりすみません!ドキドキしていただけたなら作者も満足です!次回作もよろしくお願いします! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 唳桜さん» 返信遅くなりすみません!可愛く書けていたなら良かったです!次回作も作ったのでぜひ読んでみてくださいね!この作品を読んでいただきありがとうございました! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - とても面白かったです。僕自身とても好きなジャンルで読んでてとてもドキドキしました!完結おめでとうございます。これからも応援しています。頑張って下さい(^▽^)/ (2019年12月1日 11時) (レス) id: aaae856515 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年8月10日 22時