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64冊目 ページ25

「Aにはそんなつもりないだろうし、さすがに気持ち悪いと思われるかもしれない。でも、この気持ちを話さないでいるのは嫌だったんだ。俺はAが好き」

嫌われたかもしれないな、と思いながらAを見ると彼の顔は真っ赤に染まっていた。

「本当に……?湊先生が、好き…?俺のことを……?」

自分で言いながらさらに顔を赤くする。信じられないという風に見開いている目は潤んでいる。
その反応は、期待してもいいのだろうか。Aも少なからず俺のことを想ってくれていると。

「うん。俺はAのことが好き。多分初めて会った時から、自覚がなかっただけでAのことが気になってた。ひまわりみたいな笑顔も、俺の作品が褒められたときに自分のことのように喜んでくれるところも、今みたいに顔真っ赤にしているところも、全部可愛くて好きだ」

目を見て伝えると、わー!とAは腕で真っ赤な顔を覆った。今までにないほど慌てふためいている。ソファに座っているのに後ろに下がっている。どうやったんだ。

「ちょ、ちょっと待っててください!まだ頭の整理ができてなくて……!!」

Aだって湊のことが好きなのだ。だが言わないつもりだったし、まさか湊が告白してくれるなんて思ってなかった。だから自分も嬉しくなるくらいの言葉を湊に返したいのに、何て言えばいいのか分からない。

「整理なんてしなくていいよ。じゃあこんがらがっている中で一番はじめに頭に浮かぶことは何?」

一番はじめに浮かぶこと。それはずっと考えていたこと。

「お、俺も、湊先生が好きです!」

顔を覆っていた腕を下して、Aは泣きそうに瞳を潤ませ声を震わせながらもしっかりと湊の目を見た。

驚いた湊は、ふっと優しく笑う。

「そう。なら、それだけでいい。十分だよ」

その笑顔があまりにも綺麗で、優しくて、幸せそうで。ずっと隠して過ごそうと思っていたAのこの想いが湊に伝わったと思ったら嬉しすぎておかしくなりそうだ。もしかしたら夢なんじゃないかと思うくらい。

「ねぇ、キスしていいかな。Aに触れたい。この前みたいに乱暴にしないから」

前に愛しいと思ったとき、Aがいつか離れると思って触れることが出来なかった。でも今は我慢しなくていい。愛しいと思う気持ちを隠さなくていい。

「よ、よろしくお願いします…」

おずおずと湊と目を合わせたAを抱き締めて、そっと後頭部を引き寄せて。
湊は愛しさを込めてキスをした。

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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!返信遅れてごめんなさい!キュンキュン出来ていたなら良かったです(*´ω`*) (2019年12月14日 13時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!もう最後までキュンキュンしながら読ませて頂きました〜!!この2人には、これからも永遠に幸せでいて欲しいです!!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年12月13日 22時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - ゼロさん» 返信遅くなりすみません!ドキドキしていただけたなら作者も満足です!次回作もよろしくお願いします! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - 唳桜さん» 返信遅くなりすみません!可愛く書けていたなら良かったです!次回作も作ったのでぜひ読んでみてくださいね!この作品を読んでいただきありがとうございました! (2019年12月7日 10時) (レス) id: b51b60f8c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - とても面白かったです。僕自身とても好きなジャンルで読んでてとてもドキドキしました!完結おめでとうございます。これからも応援しています。頑張って下さい(^▽^)/ (2019年12月1日 11時) (レス) id: aaae856515 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年8月10日 22時

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