共に奇跡を (ページ35)

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あれは確か岡ちゃんと呼ばれるようになって少しした頃

いやもっと前から気づいていた。

“みんなと体のつくりが違うから沢山練習しないと”

それがAの口癖

陸「A！今日飯いこ！」

『ごめん！今日予定あるー！』

陸「えーじゃあ岡ちゃん、楽！行くで！」

楽「えーー」

これが稽古終わりの会話のテンプレート

一回だけ、たった一回だけAに聞いたことがある

岡「用事って何なん」

『んー内緒！』

はぐらかされたけど

その用事が他のレッスンだと気が付いたのはだいぶ後

流「あれ？A痩せた？」

『え、！ほんま！ありがとう！』

西畑「いや、それは痩せすぎ、ちゃ、う、？」

そんな会話や

楽「A筋肉痛やん笑」

『そー、久しぶりに体育したら、』

なんて耳に入ってくる会話や日に日に擦り減っていくAの靴の底

誰がどう見てもオーバーワークなのは間違いなかった

それを言い出せなかったのはAが引き下がると思えなかったから

強がりというか頑固なのか、それはずっとそう

陸「お前、ほんまに大丈夫かよ」

『え、？だいじょ、ぶ、』

陸に答えたと同時ぐらいにふらっと地面に倒れ込んだA

楽「A！！」

あの日も同じようにがっくんの叫び声を聞いた

色々な先輩や大人が集まってきてAは運ばれていって

中高生やった俺らには出来ることは何もなくて

1番近くにいたはずやったのに気づかなかった自分の無力さにひたすらに腹が立った

岡「ごめん、俺Aが無理してんの気が付いてたのに」

『無理？してへんよ！当たり前やもん』

数日後、復帰してきたAにようやく声をかけれた

【頑張らへんとここには入れんくなる】

あの日の痛いほど残酷なAの言葉は今も俺の脳裏やはりついて離れない

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楽「どこも怪我してへん？」

『若干捻ったぐらいやから大丈夫』

岡「ほんまに？」

『まあまあ痛いです、』

最近では少し頼ることも覚えてきてくれたA

あの時からがっくんと陸と俺の中ではずっと最優先事項は君

ただ元気で笑っていてくれるだけでええ

もう強がらんでええから辛いことからは俺らが頑張ってAの事守るから弱さを出してほしいのになって

これは俺ら3人のお願い