【◇】群 青 エ ー ス . 5

199 ページ4

.









こんな言葉をかけられたのは初めてだった。

しかも味方ではなく

敵に。









御幸「実力で勝負しても勝てねぇから言葉で言い返すしか術がないって俺は思うけど」









ほんと

この人は堂々としてて、自分を持ってて、度胸のある強い人だ。

ただ先輩より自分が上手いから、とか先輩が気にくわないからとかじゃなくてきっと

チームのことを最優先に考えて動いてる人かもしれない。









A(てか…猫返してほしい…)









それに比べて私はなんなんだろう。

自分らしいプレーをするようにって監督に言われるけどよくわからないし。

私はきっとみんなと野球をする理由が違うから。







みんなはきっと野球が好きだから、勝ちたいから、そういう理由でやってるのに






私は違う。









A(私は母さんを喜ばせたかった…のかもしれない)








自分らしさってなんなのか分からなくなるし


自分のことなんて気にしてられなくて



目の前にいるピッチャーのことしか考えることしか出来ないのは


選手として未熟者だから。









A「私って変なのかな」





御幸「え？」








なんでだろう。


なんでこの人にこんなこと言うんだろう。


でもはっきり言ってくれる人だってわかってるから話すのかもしれない。









A「野球やってる理由を言ったら…なんか色々言われて」




A「もううんざりするくらい悪い方に考えちゃって他人とどうしても比べちゃう」









色々否定されて生きてると


自信って持てなくなるのかもしれない。








御幸「お前が…Aがどんな理由で野球やってるのか俺は当然知らない」







御幸「でもグラウンドに立てばみんな気持ちは一緒だし、人それぞれ理由があるから馬鹿にする権利なんてねぇよ」









確かに言われてみれば


色々考えてることが



結局は勝つことだけに集中する。









御幸「比べることを今すぐやめろって言わないけど、お前はお前のやりたいことを思う存分やればいい」




御幸「強気なリード、それがお前のやりたいのとでお前の強み…だろ？」









強気なピッチャーに


強気なリードをする


少しばかり強引なやり方で


引っ張るのがAの強み









人に言われて初めて気がつく

自分のこと

200→←198

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す