[wrwrd]青に溶ける (ページ6)

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窓から西日が差し込んで、手元を照らしている。

休憩を挿みつつも、溜め込んだ雑務の殆どを終わらせた鬱様は、先程迄延々と吸って居たのだが、煙草を吸いにふらりと消えた。今日戻るかどうかが定かではないのだが、まあここまで終わらせれば文句は言うまい。

此方も粗方終わったので、もう一度書記長の所に行かなければ、と書類を又仕訳けてまとめて行く。正直言うと手間なのだが、あの多忙ぶりを見て之を怠ける気は起きなかった。

「あれ、今からトントンの処？」

丁度扉を開けようとした処、少し生気が戻った鬱様が居た。頷くと、「じゃ僕も行くわ」と腕の中の書類の半分以上をさらりと奪われ、先導して行く。

……此の人の、こう言う処が憎めない所であり、呆れた処であり、長所である。

元々かなりの所で緩い人ではあるが、何よりも頭を悩ませるのは「女性面での緩さ」である。身体を重ねたら棄てるとか、飽きたら棄てるとか、そういうレベルの話だ。

別に彼だけに非がある訳では無い。女性とて其の人と付き合うのは合意の上だし、此の人の女癖の悪さは城下でも専ら有名な話だ。知らない方が悪いとは言わないが、知って居る奴の方が多いと言う話である。

如何云う所に惹かれて関係を持ったかは様々だろう。「自分は違うだろう」と思って付き合う人、本当に知らずに付き合った人、一時の事だからと軽く付き合った人。本当に様々だ。

本当に知らないで関係を持った人は本当に可哀想だが、其れよりも、「遊ばれていても良いから付き合いたい！」と思って付き合う人も一定数居る事が、何とも言えない事実であった。

女性にしても非があるとしても、彼が如何いう基準に従って女性と付き合い別れているのかは知らないが、同じ女の性を持つ者としてはあまり気持ちのいい話ではない。

が、補佐官として厭でも彼と距離が近くなると、「だから女性も此奴に近付こうと思うのかな」と納得する理由を見付けるのも早かった。

頼まれる訳でも無く人を気遣える。其れを当たり前に出来る。

平易な云い方をすれば優しいのである。
関係を持った女性の扱いがどうかは知らないが。

「休憩はもう宜しいので？」

「さっき一服したら、Aちゃんが出て来たから」

何処から見て居たのだろう。室内で吸おうが室外で吸おうが関係ない事だが、態々吸いに出かけたのならここからは離れた所に居ると思って居た。てっきり、外で吸って居たと思ったのだが。少し不思議に思った。