[wrwrd]青に溶ける (ページ24)

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考えながら、いつの間にか執務室に到着して居た事に気付く。

二人入り、周囲に人が居ない事を確認してから扉を閉め、何となく纏まりつつある思考を、掴めない笑顔の上司にぶつけてみる事にした。

「人事から、システム的アプローチを掛けつつ、元々武闘派のあの方々を、正当化して動かしたいと言う事ですか？」

「ま、端的に言えばな」

まあ、武闘派のコネシマ様やショッピ様、其処に事によってはシャオロン様が加わる事になるだろう。エーミール様の介入は後に決定していると言っても良い。

とすると、戦争の方の役割で考えれば、人事方面の急な変更を税制改革の一端とし、あの三人の動きを同時に解放し、情報処理としてはエーミール様を置く。

抑もの税制だけで言えば、階級、または商品に関する税率などを含めるだけだから、私達人事の介入の余地はない。元々人事と言ってもそれは部署の一つの名目だけで、様々な案件を基本的に幅広く手掛けているのだが、それはさておき。

人事を含めたのは、恐らく税として供給される要職の給料を調整、と言う名目だろう。抑も最高幹部から一つ下位迄は、総統閣下直々に信頼の判を押されて居る者のみ。大きな反対が起きても抑え込めるレベル。

其処にシステム変更の知らせを飛び入らせ、外から人を呼ぶ。多分実際は信頼のおけるメンバーでの構成になるだろう。にしても、要職に食い込める可能性をスパイが見逃すわけがない筈だ。

態々下っ端で情報を探ると言う方もいるが、其れよりも要職で相手の懐に潜り込んだ方がよほど情報効率が違うのだから。零細な下級階級で居るスパイを狩るのは、『私達』ではない。

「まあ戦争の事もあるやろうし、多分税制自体に改革の必要性を感じとったこともホンマの事やろうと思うで？」

そう言って煙草を灰皿に落とす我が上司の眼は、慧眼の一言に尽きる。

「ま、一つの事をしつつそれを隠れ蓑に色んな事をする、結構大変なんやけどグルちゃんは嬉々としてやる事やからな」

唇を歪める彼は、大変だと言いつつ、其処に愉悦を感じているとしか思えない笑顔を浮かべていた。

「まあやってみようや、A＝エルジュ第一補佐官」

何時もの軽薄な様な、何処か挑発的なような、不思議な笑顔を見せた。彼も、腹を括ったようだ。元よりその心算しかない、と、口角を上げる。

「勿論です」

税制か、鼠狩りか、戦争の準備か、どれだって構わない。

やるべきことを遣るだけだ。