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滅多に行かない部署である上、この城は広い。


客人を通す以上、其処等は豪奢に着飾らざるを得ないものの、そう云った物を殆ど好まない幹部たちと総統の為か、この城は実用的な造りをしている所が殆どである。

と言うか、誰の趣味かは知らないが、豪華に仕立てた諸所は、一枚薄皮を捲ってみると罠と実用性で溢れており、実際の所着飾ったと言うには程遠過ぎるものがある。
閑話休題。


我が上司を探すためにこの城の構造は殆ど把握しているものの、余り関わりのない部署の名を言われても、その機関が何処にあるのか首を傾げてしまうのは、仕方のない事だろう。


然し幸運な事に、其処等辺を適当に歩き回ってみたところ、何となく記憶が浮かんできた。真直ぐ往った階段を降り、右折した場所にあった筈だ。


良し、と、書類を抱え直し、コツ、コツ、と少し慎重に階段を下りて行く。
此処からは、他所だ。そんな感じがしてしまう。こんな時に限って、あの上司はいない。


少し憂鬱になったが、そうも言って居られまい。目の前には、お目当ての扉が存在している。とにもかくにも、此処まで来れば、引き返すもへったくれも無いだろう。仕事に私情を挟んではならない。


ノックをする。所属と名を名乗る。


許可の声に、一つ息を吐いてから、「失礼します」と扉を開けた。



「此方の部署の書類が私共の物の方に紛れ込んでおりましたので、お届けに上がりました」


其処には、第一補佐官と第二補佐官が、黙々と自らの仕事を遂行して居た。幹部は如何やら不在の様だ。
幹部が居たら話し辛い、が、正直此処の第二補佐官は好きではない。個人に好き嫌いと言う感情を持つ事はあまりしないが、仕事として関わる以上、此の人の態度を好きになる事はあるまいと思う。


「嗚呼、はい、鬱様の所の。拝見します」


第一補佐官は、私から書類を受け取って眼を通している。



……まあ、『向う』も私を毛嫌いして居るのに、突っかかって来ない訳がない訳なのだが。



「権限もある『そう言う部署』の癖に、適当な案件位そっちで処理しないんですかねえ?」


ねっとりと纏わりつく様な声に、一瞬眉を寄せる。未だ酒を飲んだうちの上司が怠絡みして来る方がマシだな、と思いながら、其方に視線を向けた。空気が一瞬で変わる。


「特別権限が発動するのは総統閣下の宣言の『非常事態』のみです。或る程度の案件は此方で処理して居ますが、重大な問題に絡みかねないので貴方方に持ち込んだ次第ですが」

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かなと - 編集画面の関連キーワード入力の下をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年8月20日 18時) (レス) id: fb24f34b5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遥彼方 | 作成日時:2019年8月20日 18時

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