7人の傘 2 /8人目/

▽56/安田side/ ページ7

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これから梅雨に入ると毎日、雨。



そんな時Aはどうするんやろ？








「ん？…一日中お家に居てるよ」





村「それやったら大丈夫なん？」





「うん、全然平気」




錦「ほんまに？」





「めちゃくちゃ陰気臭いけどね 笑 」








爽やかな笑顔でそう言って



あ、そうや。昨日のボイトレで先生に褒めてもらえたんよ〜！ねっすばるくん♪





…さらりと話をすり替える。









無理して笑ってることくらい誰が見てもわかる。





でもそこを突くと崩れてしまいそうで。



平気なフリして、笑って、強い自分であろうとするAの弱さ。






その弱さは芸能界に足を踏み入れた者としては強さにもなりうる。



その点、Aは芸能人向き。







でも






1人の、25歳の女性としては




放ってはおけない弱さやから。









俺ら7人はAから目が離せない。放っておけない。







弱いところを隠すことを強さと思っている、Aの勘違いに気がつかないフリをしながら



そっと背中をさすってあげる。




泣いてることに気がつかないフリをしながら



何も言わないで抱きしめる。









良い歳の男と女がそんなんしてたら必然的に生まれて来てしまう、その感情を殺して




俺らはAを妹のように可愛がらなくてはならない。








1人の女性として見たらあかんって線引きが引かれてて




全員が全員、そのラインのギリギリのところでつんのめるようになる未来を






俺らに課せられた切なさに









うすうす気づき始めた頃、



東京は梅雨入りしたらしい。









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