7人の傘 2 /8人目/

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かと思いきや抱きしめてた腕の力を緩めて私を解放すると





大「…はよマグカップ買ってき？」





にこっと笑顔になった。








逃げるようにレジへ向かって会計を済ませる。


2人で車に戻りながら





今日の大倉くんおかしい。やっぱ疲れてんねや…悪いことしたなぁ





変な空気のままぼーっと考えていた。









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大「雨降りそうやし、送ってくわ」




「…ありがとう」





大「そろそろ台風来るらしいしなぁ」









不気味な大倉くんの正体は台風が近づいてるからだったりして？



んなわけあるかいなって私の頭の中の小さな村上くんがツッコミを入れる。



そらそやなって心の中で返事してから









いま雨が降ったら私、大倉くんに泣きついて迷惑かけてもっと嫌われるかもしれない…



と焦り始めた。









大「あ、雨嫌いなんやったっけ？置き傘あるからそんな焦らんでも大丈夫やって〜」





「うん…」








にこにこしたり不機嫌になったり、



大倉くんは分からない。









助手席に乗り込んだ私と運転席に乗り込んだ大倉くん。





なかなかエンジンをかけないのは何でやろ。


って思ってたら、急に私の方に向き直った。









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大「もっかい聞くね。A、俺のことなんやと思ってる？」





「…だから、」





大「ヤスにも同じこと言える？良いお兄さんやって思ってる？」





「なんでそこで章ちゃんが出てくるん」





大「頭ん中ヤスでいっぱいやから」





「そんなことないっ」








終わりの見えない、


正解の見えない、




不透明なやり取り。






頑固な大倉くんと同じく頑固な私は

まるで巨大なコンクリートの壁を探り合って体でぶつかり合ってるようだ。






いつものふざけた喧嘩のような憎まれ口の叩き合いとは全然違くて



大倉くんの姿がどこにも見えなくて。








こんなの嫌や…









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