7人の傘 2 /8人目/

▽62/錦戸side/ ページ13

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いつも可愛い妹のように思ってたAが



ピンク色を私に貸してくださいと言った時、






綺麗やなぁ…って思った。








野口さんにちゃんと自分の意見も言った横顔も



自分への批判が来ることを分かっていながら受け入れた心も





強くて、綺麗だった。









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「…あ。Aは苗字、芸名でやることになりました」





解散、の号令が出てみんなが立ち上がった直後

何でもないことのように野口さんは付け加えた。








大「…藤原？」





「あれ、大倉くん知ってたん？」





首を傾けて可愛くAは言った。


さっきまでの凛とした顔はどこへやら。





すっかり気を抜いた、幼い顔で。









「…一般人やし 本名でやると昔のこととか、ボロボロ出てまうから…。



芸名、言うても母方の旧姓なの。藤原〜」






藤原Aでーす、とニコニコ笑うA。









ボロボロと昔のことがこぼれ出したら



何か困るんかな？







俺らみんな…野口さんでさえもそんな疑問を少なからず抱いたような顔をしていた。








それでも誰も聞けなかったのは



何でやろ。









Aの空気が、Aの周りを漂う空気が、




無意識に、俺らに踏み入れさせない固いバリアを張ってたのかもしれない。









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このときに誰かが少しでも突っ込んでいれば








あんなことには、ならんかったんちゃうかな？









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