検索窓
今日:13 hit、昨日:4 hit、合計:44,220 hit

王様と番犬 五戦目 ページ25

.


 幸村から放たれたサーブを、大石が返す。返ってくるボールに、ぼんやりと弛緩していたAは、くらりと倒れでもするように身体を傾けて――次の瞬間、予備動作もなしに、跳躍した。

「……っ!」

 ザザッと荒々しく滑らされた靴裏、砂煙。まるで操られているかのような、不自然極まりない動き。勢いそのままに、ボールを叩く。


.

 それにいち早く気づいたのは、やはり試合を注意深く観察し分析していた面々――それに加えて、もう一人。何せ彼は、身をもって知っている。全国大会決勝の場で、その身でもって体感している。

「あれって……まさか」

 越前リョーマは、それを知っている。

「あの人、五感を奪われてるんじゃない……?」

 幸村の持つ技能、五感剥奪――それを、味方であるはずのAに対して施行しているというのだ。

「はあ!?」

 と、そんな風に声を上げたのは誰だったか。しかしその場に居合わせた者は誰だって、同じような気持ちだっただろう。

「いやだって……なんのためにだよ!?」
「わかんねえっすよそんなの!」

 ぎゃんぎゃんと騒ぐ彼らの横で、「……恐らくだが」と呟くのは乾。

「目を瞑ることで他の感覚を鋭くしていたというのなら――つまり」

 つまり?

.

王様と番犬 六戦目→←王様と番犬 四戦目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
171人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

角砂糖(プロフ) - 美琴さん» ありがとうございます!!(大声) (2020年3月11日 19時) (レス) id: 651af228bd (このIDを非表示/違反報告)
美琴 - 好きです(突然の告白) (2020年3月9日 20時) (レス) id: 0419c563a9 (このIDを非表示/違反報告)
角砂糖(プロフ) - 蘇芳さん» この作品を愛していただき本当にありがとうございます。この話の続編は、今の所はあまり考えていません。今非常に私生活が忙しく、それが一段落したら何か書きたいなとは思っていますので、いつになるかわかりませんが、もし気が向けばお付き合いいただけると幸いです。 (2020年1月30日 4時) (レス) id: 651af228bd (このIDを非表示/違反報告)
蘇芳(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました!もしもあるのなら続編楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2020年1月24日 20時) (レス) id: ec6c109e68 (このIDを非表示/違反報告)
ピット☆(プロフ) - 角砂糖さん» そうです!覚えていてもらえて嬉しいです!!予定があるかはわかりませんが次の作品をお待ちしてます! (2019年11月20日 1時) (レス) id: f631e9f6d4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:角砂糖 | 作成日時:2019年3月18日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。