王様と番犬 五戦目 ページ25
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幸村から放たれたサーブを、大石が返す。返ってくるボールに、ぼんやりと弛緩していたAは、くらりと倒れでもするように身体を傾けて――次の瞬間、予備動作もなしに、跳躍した。
「……っ!」
ザザッと荒々しく滑らされた靴裏、砂煙。まるで操られているかのような、不自然極まりない動き。勢いそのままに、ボールを叩く。
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それにいち早く気づいたのは、やはり試合を注意深く観察し分析していた面々――それに加えて、もう一人。何せ彼は、身をもって知っている。全国大会決勝の場で、その身でもって体感している。
「あれって……まさか」
越前リョーマは、それを知っている。
「あの人、五感を奪われてるんじゃない……?」
幸村の持つ技能、五感剥奪――それを、味方であるはずのAに対して施行しているというのだ。
「はあ!?」
と、そんな風に声を上げたのは誰だったか。しかしその場に居合わせた者は誰だって、同じような気持ちだっただろう。
「いやだって……なんのためにだよ!?」
「わかんねえっすよそんなの!」
ぎゃんぎゃんと騒ぐ彼らの横で、「……恐らくだが」と呟くのは乾。
「目を瞑ることで他の感覚を鋭くしていたというのなら――つまり」
つまり?
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角砂糖(プロフ) - 美琴さん» ありがとうございます!!(大声) (2020年3月11日 19時) (レス) id: 651af228bd (このIDを非表示/違反報告)
美琴 - 好きです(突然の告白) (2020年3月9日 20時) (レス) id: 0419c563a9 (このIDを非表示/違反報告)
角砂糖(プロフ) - 蘇芳さん» この作品を愛していただき本当にありがとうございます。この話の続編は、今の所はあまり考えていません。今非常に私生活が忙しく、それが一段落したら何か書きたいなとは思っていますので、いつになるかわかりませんが、もし気が向けばお付き合いいただけると幸いです。 (2020年1月30日 4時) (レス) id: 651af228bd (このIDを非表示/違反報告)
蘇芳(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいました!もしもあるのなら続編楽しみにしています。これからも頑張ってください! (2020年1月24日 20時) (レス) id: ec6c109e68 (このIDを非表示/違反報告)
ピット☆(プロフ) - 角砂糖さん» そうです!覚えていてもらえて嬉しいです!!予定があるかはわかりませんが次の作品をお待ちしてます! (2019年11月20日 1時) (レス) id: f631e9f6d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:角砂糖 | 作成日時:2019年3月18日 21時