【星屑はシニカルにはにかむ】 ページ7
透明感のある今にも消えてしまいそうな白い髪をなびかせ、ルビーのように煌めく宝石のような瞳を見たときは、言葉を失うほど見とれてしまった。髪の色が変わってしまった人、瞳の色が変わった人、幾度となく見てきたが、それでも、彼の"アルビノ"というものは繊細で美しいものだと知った。それと同時に、くろのことを虐げてきたあいつらのことも思い出す原因にもなった。
つい先日まではその彼のことをあいつらと同じ存在だと思っていた。ただ、微量の魔法を使える人だと思っていた。けれど、それは誤解。ただ、くろが勘違いしていただけなのだ。それを知ったときなんと言えばよかったのか、よくわからず「そうだったんだ」としか言えなかった。謝るくらいできたのでは? と別れた後、何度も思った。けれど、意地の悪いプライドがそれを許さず素直に謝ることができない。何度も、頭でシミュレーションをしても、いざ謝ろうとすると言葉がつっかえてうまく言えないのだ。どうしてだろう。
明日こそ、明日こそ必ず言わなければ。仲違いをしたままだと、また昔と同じになってしまう。
「願おにーさま、暇ー?」
翌日の昼下がり。にこにことしながらくろは願お兄さまに近づいた。今となっては、この笑顔は違和感でしかないだろうけれど、周りに人がいる以上は仕方がない。
「えっと、うん。どうしたんですか?」
「あ、あのね」
こてんと首を傾げながら尋ねてくる願お兄さま。目を合わせづらくなり、瞳孔を横に動かした。たった6文字。言ってしまえばいいのだ。しかし、自分の口は浅く呼吸を繰り返すだけで「ごめんなさい」の言葉は出てこない。不思議そうな顔をしたままの願お兄さまはふいに「あっ」という声をあげた。慌てて視線を戻すとポケットから何かを取り出すとこちらに見せてきた。
「金平糖あげようと思ってたんです」
小さな袋に入った星のような形をした色とりどりのお菓子だった。大きさは0.8mmほどで、あまり大きいとは言えないが、そのお菓子は夜空に散らばっている星のように見えた。
「ありがとう! 後で食べるね〜」
受け取った後、つい手を振って願お兄さまから離れてしまった。また言えなかった。部屋に戻ると、1人だということを良いことに、溜息をついた。
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円藤 マメ(プロフ) - 菜の葉さん» ありがとうございます:) 褒められて照れる。リンク記載の件把握しました、よろしくお願いします!。 (2019年7月19日 19時) (レス) id: 3241387696 (このIDを非表示/違反報告)
菜の葉(プロフ) - 文才がヤバいですッ! クロちゃんの想いとか感情とか、すごい伝わってきます…! こちらの作品を、『リンク集』のところに載せさせていただきますね! (2019年7月19日 18時) (レス) id: 8971b2ec5c (このIDを非表示/違反報告)
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