【どうやら つまりそれが正しいようだ】 ページ11
外は雨が降っている。ざあざあと神樹の葉を、雨水は叩きつけており、どうも外には出られそうにない。とうぶんは室内で過ごす時間が多くなりそうだ。はあ、とため息をつく。外に出れないとなると、みんなと関わる機会がなくなってしまうなあ、と考えながらこれからどう過ごすかを考えようとした。ふと、背後に気配を感じて振り向くと、そこには髪の白い女の子が立っていた。
先に言っておくけれど、彼女は、以前の彼とは違い地毛ではなく染めたらしい。黒と青が入り混じった瞳がくろを映していた。――彼女は白銀璃雨、という。彼女の瞳は特別で、一種の病気らしい。そのことを知らなかったから、出会ったときは魔法使いの奴だと警戒したけれど。別に、そういうわけではなかったらしい。今では良好な関係とも言えないけれど、以前よりいがむことはなくなった。……いや、こんな呑気にしている場合ではない。彼女と関わったら色々と面倒なことになりかねない。
というのも、彼女はどうやら人の考えていることがわかってしまうらしいのだ。実際は知らないけれど、そう思うには納得できる出来事がいままでにあるから、信じざるを得ない状況なのである。だから、話そうとすると色々厄介なのである。さらに、彼女自身は、自分のことを語らないからタチが悪い。
「今 タチ悪いって」
「うん、思ったよ。もう少し自分のこと話したらフエアなんじゃないかなって思ったよ」
「えー」
とけたけたと笑い「教えないよ」と言っている彼女に溜息をつく。この会話も何度目だろうか。ギフトすらないくろにとっては、一生わかりっこないのだけど。存外、彼女のソレも魔法なのではと思ってしまう。
「魔法使いじゃないって」
「わかってるよ? でも――」
「あ、そうそう思い出した」
途端に話を遮られる。その自由奔放な性格も、どうにかしてほしいのだけれど。会話がいつまでたっても噛み合わない。こんな心情などダダ漏れだというのに、彼女は気にしないで話を続ける。
「アジサイが咲いてたから、雨が止んだら見に行かない?」
「……アジサイ?」
アジサイ、といえば、花言葉が「移り気」ということしか知らない。季節のようにころころ変わる、移り気が花言葉なんて可哀想。そんな花を見て、どうするというのだ。何も言わず口を噤んでいると、璃雨お姉さまは溜息をついた。もういっそ声を出さなくても彼女と会話できるのではないだろうか。と、思うほど、彼女は人の心を躊躇なく読む。
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円藤 マメ(プロフ) - 菜の葉さん» ありがとうございます:) 褒められて照れる。リンク記載の件把握しました、よろしくお願いします!。 (2019年7月19日 19時) (レス) id: 3241387696 (このIDを非表示/違反報告)
菜の葉(プロフ) - 文才がヤバいですッ! クロちゃんの想いとか感情とか、すごい伝わってきます…! こちらの作品を、『リンク集』のところに載せさせていただきますね! (2019年7月19日 18時) (レス) id: 8971b2ec5c (このIDを非表示/違反報告)
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