嘘三十八つめ。 ページ41
*
「オールマイトの授業はどんな感じです？」
「え！？？あ…すいません。僕、保健室行かなきゃいけなくて…」
「"平和の象徴"が教壇に立っているということで様子など聞かせて！」
「様子！？えー…と筋骨隆々！！です！」
「教師オールマイトについてどう思ってます？」
「最高峰の教育機関に自分は在籍しているという事実を殊更意識させられますね。威厳や風格はもちろんですが他にもユーモラスな部分等、我々学生は常にその姿を拝見できるわけですからトップヒーローとは何をもってしてトップヒーローなのかを直に学べるまたとな(省略)」
「…昨日より増えてる」
正門の前に集う取材陣を遠巻きに眺め、虚はポツリと本音を溢した。
野次馬の人達もいて、進むのが困難な事は想像に容易い。
個性を使っても良かったが初日の事であの後、相澤にこってり絞られた彼女はその考えを脳の隅に捨てる。それは最終手段にしておこう。
「ああ、すみません。考え事をしていたもので…」
「……」
とりあえずダメ元で進むかと考えていれば、トンと誰かの肩にぶつかってしまった。
会釈して顔を上げれば、こちらをジッと見つめているのが分かる。
水色の前髪が長く、猫背気味なので表情は窺えない。
頭を傾げてみるが相手の反応はなかったので、もう一度会釈して虚は校門に足を進ませた。
「オールマイトはどのような授業を…めっちゃ美少女!!」
「んふふ、どうもありがとうございます」
「オールマイト…あれ！？君「ヘドロ」の時の!!」
「やめろ」
「オール…小汚っ!!なんですかあなた！？」
「彼は今日非番です。授業の妨げになるんでお引き取り下さい」
犬を追い払うような仕草をする相澤とマスコミのざわつきを聞きながら、虚は爆豪に話しかける。マスコミのオールマイトに対するコールでかき消されそうだ。
「おはようございます、カツくん。本当、あの人達も連日ご苦労様ですね」
「…"平和の象徴"が事務所休んで教師やってんだ。まだ少ねえ方だろ」
「大人数でも少人数でも賑やかな事には変わりないと思いますよ、アレ」
虚がちらりと後ろを見やれば誰か中まで入り込んだのか、セキュリティが発動し門が閉まっているのが解る。
早く普通に登校したいという思いを込めて、彼女はふうと息を零す。
「…おい。置いて行かれたくなきゃ、さっさと歩けや」
「え、あっ…はい！」
舌打ちをかまし、ズンズンと歩いていく爆豪の背中を虚は慌てて追ったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はむ(プロフ) - 言葉選びが好きです、 (2021年8月26日 0時) (
レス) id: 9bb4746f4d (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 莉兎さん» 私の小説で楽しんでいただけて何よりです〜！！更新遅いですがコツコツ頑張っていくのでよろしくお願いします(｀・ω・´) (2018年7月22日 3時) (レス) id: 1bdc6616c8 (このIDを非表示/違反報告)
莉兎 - 凄い続き気になります、、、！めっちゃ楽しい(((o(*ﾟ∀ﾟ*)o)))、、！ (2018年7月10日 22時) (レス) id: 8e6cda3aa7 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 血華さん» わーっ！これからもドキドキできるような小説を書けるように精進します！応援、ありがとうございます〜！ (2018年4月4日 5時) (レス) id: 1bdc6616c8 (このIDを非表示/違反報告)
血華 - 凄く面白かったです！読んでいてドキドキしました！これからも応援してます！ (2018年3月31日 1時) (レス) id: d91252218e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白雨 | 作成日時：2016年8月17日 9時
