嘘１５つめ。 ページ16
*
あの後、普通に着替えて何事も無かったかの様に
……とはいえ、俺はまだ学校に残っているのだが。
まあ、その理由は案外単純なもので。ただ単に提出書類について先生に質問していただけ。
もう昼時だし、さっさと帰ろう。
「…やっぱり、鞄は持って行くべきだったな」
不意にそんな言葉を漏らす。
教室と職員室の往復距離が結構なもので、ちょっとだけ後悔した。
そんな事を言っていると、教室の扉は目の前で。
……うん、やっぱりデカイな。扉。
教室の中に入ると、窓が開いていて、風に揺れるカーテンの隙間から誰かの足が覗いている。
恰好からして、女子だ。まぁ、女装趣味の男だったら違うかもしれねえが。
どうやら、相手も俺に気付いた様で。
カーテンを掴み、ひょっこりと顔をちらつかせた。
「えっと、どうもです」
「……あ、変な奴」
「挨拶の返答で「変な奴」と言われたのは初めてですよ」
んふふ、貴重な経験ってやつですね。
艶のあるくせ毛を軟風に委ね、柔らかい表情と眼差しでこっちを見て、そんな言葉を述べた。
……いま、結構。普通なら怒る様な事を口走ったのに。
「んふふ、「どうして、コイツは怒らねえんだ？」って疑問に思ってますか？」
「……」
「あ、今度は「何で俺の考えてることが分かるんだ」って考えてます」
案外、貴方は分かりやすいんですね。誤解を招かないように言っておきますけど、褒め言葉ですよ？
ダンスのステップを踏む様に、彼女は足をパタパタと忙しく動かした。
その姿は顔に似合わず無邪気な子供みたいで、どこか
「そうですね。先程の答えを言えば、貴方に悪意が無かったからです」
「……どうして分かる」
「んふふ、次に貴方は私が怒らないことを疑問に思いましたよね。悪意がある人は、そんな事。普通は考えませんよ」
…それとも、私の怒った顔が見たかったんですか？
先程まで柔らかく微笑んでいたソイツは、表情を変え、悪戯っ子の様な笑みを浮かべていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はむ(プロフ) - 言葉選びが好きです、 (2021年8月26日 0時) (
レス) id: 9bb4746f4d (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 莉兎さん» 私の小説で楽しんでいただけて何よりです〜！！更新遅いですがコツコツ頑張っていくのでよろしくお願いします(｀・ω・´) (2018年7月22日 3時) (レス) id: 1bdc6616c8 (このIDを非表示/違反報告)
莉兎 - 凄い続き気になります、、、！めっちゃ楽しい(((o(*ﾟ∀ﾟ*)o)))、、！ (2018年7月10日 22時) (レス) id: 8e6cda3aa7 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 血華さん» わーっ！これからもドキドキできるような小説を書けるように精進します！応援、ありがとうございます〜！ (2018年4月4日 5時) (レス) id: 1bdc6616c8 (このIDを非表示/違反報告)
血華 - 凄く面白かったです！読んでいてドキドキしました！これからも応援してます！ (2018年3月31日 1時) (レス) id: d91252218e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白雨 | 作成日時：2016年8月17日 9時
