検索窓
今日:16 hit、昨日:4 hit、合計:25,853 hit

第八話 藤の花の下でもう一度・後編 炭治郎視点 ページ10

「ギャァッ! 」
「カラスなんてどうでもいいんだよ!
 刀だよ、刀!
 今すぐ刀を俺によこせ!
 鬼殺隊(きさつたい)の刀!!
 色変わりの刀!! 」

 その少年は白髪の少女の髪を鷲掴みにしながら怒鳴った。

 っ! なんなんだこの人は!

 俺は怒りのまま少年の手を掴もうと手を伸ばしたが、
俺の手が彼の腕を捉える寸前、少年は視界から消えていた。

え! 避けられたのか?

「アッ!
 ……痛テェな! なんだよ、お前は!! 」
「はぁ……、叫ばないでよ耳元で」

 なんと、巫兎がその少年を取り押さえていた。

 え? えぇ!

「いいから離せよ! 」
「さっきから本当にうるさいわね、あなた。
 人の話が理解できないの?
 遅くても十五日くらいはかかるって、説明されたじゃない。
 はぁ……、頭痛い。
 これ以上暴れないなら放してあげてもいいけど? 」
「あぁぁ!?
 お前…………」
「ヒィィィ! 」

 その少年が口答えしようとすると、巫兎はその少年を睨んだ。
周囲の空気は一気に下がり、まるで冬の日の山のような気温だった。
さすがの少年もまずいと思ったのだろう、大人しくなった。
それを見て巫兎も少年から手を離した。

「お話は済みましたか? 」
「えぇ、場を荒らしてしまい申し訳ございませんでした」
「いえ、、あちらから刀をつくる鋼を選んでくださいませ」
「鬼を滅殺し、己の身を守る刀の鋼はご自身で選ぶのです」
「……んなの、わかんねぇよ」
「多分すぐ死にますよ、俺は」

 みんなが戸惑う中、巫兎は一息つくとそっと手を伸ばし、
一番角張った玉鋼を手に取った。

 さすがだな、巫兎は。
己の身を守るものは自分で選ぶか……。

 俺は決心すると、自分の身を守る玉鋼に向かって手を伸ばした。

第八話 藤の花の下でもう一度・後編(続き) 炭治郎視点→←第七話 藤の花の下でもう一度・前編 炭治郎視点



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
77人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:庵原史穂 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。