第七話 藤の花の下でもう一度・前編 炭治郎視点 ページ9
最終選別が始まってから七日後の早朝、俺は鳥居の前に立っていた。
や、やっと戻ってきたんだ。
俺は、俺は生き残ったんだ!
選別に受かったんだ!
俺が喜びを噛み締めていると、白髪と黒髪のおかっぱの少女が出てきて言った。
「おかえりなさいませ」
「おめでとうございます。ご無事で何よりです」
たった四人……!? 二十人くらいいたのに。
あの人もいない……。
あの時、俺が気絶したせいで! 助けることができたのに!
はっ! 巫兎は! 巫兎は生き残ったのか!
俺は、約束を交わした少女を探すために、慌てて周囲を見渡した。
「……」
「死ぬわ。
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。
ここで生き残っても、結局死ぬわ、俺」
「ッチ!
ブツブツうるせぇんだよ! 」
「はぁ……」
巫兎は、二人の少年の会話をうんざりするような顔で見ていた。
あっ、いた!
「巫兎! 」
「あ……、竈門君」
俺は疲れているせいなのか駆け寄ることができず、
ゆっくり巫兎の元へ歩いた。
「よかった、また会えて」
「えぇ、竈門君も元気そうね」
「あはは……、このボロボロの状態でそれ言うのか?
巫兎のほうこそ元気そうじゃないか」
「そんなわけないでしょ。
七日間も鬼の牢獄にいたのよ?
体力的にも、精神的にもそろそろ限界よ」
俺よりもはるかに強い巫兎ですらそうなんだ。
……確かに、疲れてる匂いがする。
「で?
俺はこれからどうすりゃいいんだ?
刀は? 」
「まずは隊服を支給させて頂きます。
体の寸法を測り、その後は階級を刻まさせて頂きます」
「階級は十段階でございます。
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。
現在の皆様の階級は、一番下の癸でございます」
「で、刀は? 」
「本日中に玉鋼を選んでいただき、
出来上がるまで遅くとも十五日ほどかかります」
「さらに今から、
鎹鴉は主に連絡用のカラスでございます」
「……でも、あの子のはカラスじゃないけど」
巫兎が指をさした先を見てみると、その少年の手にはカラスが乗っていた。
バシっと大きな音がした方を振り返ると、先ほどから刀、刀と騒いでいる少年が、
カラスを手で跳ね返していた。
ど、どう言うことだ!
なんでカラスを手で跳ね返したんだ?
俺が突然の状況に驚いていると、
その少年は白髪のおかっぱの女の子の髪を鷲掴みにして、怒鳴り始めた。
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庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)
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