風柱の継子は冷徹少女ー最初の分かれ道ー【鬼滅の刃】 (ページ7)

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第五話　白髪の悪魔・前編　巫兎視点ページ7

木の影から現れた女鬼は、悪魔のような微笑みを浮かべていた。
鬼の髪は透き通るように白く、長く、その姿はまるで昔話に出てきそうな雪女にそっくりだった。
おまけに口は大きく裂け、口裂け女を彷彿とさせる姿でもあった。

　っ！なんなのこの鬼！
そこまで人を喰っていないはずなのに。
なのにどうして……こんなにも、空気が重いの？

「あらあら、そんな怖い顔をしないでちょうだい。
　かわいい顔が台無しじゃない」

　……でも、この森の中では相当強いはず。
選別で倒してきた鬼よりは確実に人を喰ってるはずだから。

「フフッ、つれないわねぇ。
　一言ぐらい、お返事したらどう？」

　なんて面倒な……

「はぁ……、要件はそれだけ？」

　私はそう言うと、もう一度刀を構えなおした。
すると、白髪鬼は下を向いた。

「……そう。
　せっかく私が見逃してあげようと思ったのに。
　すごく残念だわ」

　そう言い、ニタァと気味が悪い笑みを浮かべると、巫兎の方に飛びかかってきた。

　っ早い！

「アハハ！私、早いでしょう？
　そんな逃げ回らないでちょうだい！！」

　鬼の髪が糸のように伸び、私を捕まえようとした。
しかし、私は間一髪でよけ、髪をめった切りにした。

　はぁはぁ……。
あの鬼、異能も持ってるだなんて。

「あぁ〜！？
　私の美しい自慢の髪が！！
　何年、何年かけてこの髪を手に入れたと思ってるのよ！？
　許さないわよ！」

　そんなの知ったことじゃないわよ！
でも、異能を手に入れられるくらいここにいたなら、納得ね。
……最悪。

　鬼の髪はまるで一本一本意志を持っているかのように、
複雑に曲がりながら私を追いかけ続ける。
しかし痺れを切らしたのだろう。
横からだけでなく、上からも、全方位から私を追いかけ始めた。

　ちっ！上からもなんて厄介な。

「全集中・風の呼吸。肆ノ型昇上砂塵嵐(しのかたしょうじょうさじんらん)！」

　砂塵を巻き上げる嵐のように、私は迫り来る髪を一斉にきった。

「……あんた、なかなかやるのねぇ。
　でも、これで最後よ！！」

　するとすぐに、ものすごい勢いで四方に散らばっていた髪が一つになり、
私の方に向かって突進してきた。

「アハハ！これだけ太くて速かったら、流石に切れないでしょうね！
　潔くこの私に喰われなさい！」

　この太さでこの速さは切れる自信がない。
なら、避ける？
でもすぐに捕まる。
なら……いっそ！

　私は足を止め、真っ直ぐ迫り来る白髪の束を見つめた。

　

　