風柱の継子は冷徹少女ー最初の分かれ道ー【鬼滅の刃】 (ページ39)

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第三十五話　仲間と共に　巫兎視点ページ39

どこか温もりを感じる道場で同期の仲間たちと稽古をしていると、
窓から一匹の鎹鴉が入ってきた。
その烏は静かに速度を落とすと、炭治郎の頭に偉そうに着地すると、
大きな声で話し始めた。

「伝令、伝令カァ〜！
　新シイ任務ダァ、カァ！
　今スグニ四人(・・)デムカエェ！
　トアル寝台特急ニテ鬼ノ被害アリ。
　短期間ノウチニソノ汽車デ四十人以上ノ人ガ行方不明トナッテイル！
　数名ノ剣士ヲ送リ込ンダガ、全員消息ヲ絶ッタ。
　直チニ現地ニイル炎柱ト合流シ、討伐セヨ！カァ〜！」

新たな任務の報告に、私は思わず目を細めてしまった。

また、またなの？
ついこの間団体任務に行ったばかりなのに。
……でも、同期の子と一緒だから良いか。
ここ数日の鍛錬で同期の実力と特性を知ることが出来たから、
この間のような悲劇は起こらないはず。
それに、今回は柱も初めからいるようだし、逆に私たちが行ってお役に立てるかが心配だ。
柱に声がかかっていると言うことは、おそらく鬼は十二鬼月。
たとえ柱がいらっしゃったとしても、油断してはならない。
予想もしないことが起きるかもしれないから……

「……兎。巫兎！」
「え？」
「大丈夫か？ぼうっとしていたようだけど……」
「え、あぁ。大丈夫」
「なら良かったぁ」
「フン、お前のように任務の報告ぐらいでぼうっとするやつは、こなくていいぞ！
　俺様が全て斬ってやるからな！」
「た〜んじろ〜う！！
　俺やだよぉ！また任務に行くのぉ！？
　せっかく手足が元通りになったのにぃ！イィヤァァァァァァ！！」

二人ともうるさいわね、はぁ……。
先が思いやられる。
こんなので本当に生き残れるの？

私はため息で怒りを少し吐き出すと、竹刀を片付けた。
そして道場の扉に手をかけると、

「つべこべ言わないで行くわよ。
　私、置いてくから」
「あ、あぁ！
　ほら善逸！良い加減俺から離れろ。
　伊之助も筋肉自慢は良いから、支度するぞ」
「よし、ついて来い権八郎！」
「ま、待ってよぉ」

あまりのうるささと緊張感のなさにもう一度ため息を吐くと、私は道場を後にした。