第二十六話 鬼の家族 巫兎視点 ページ29
突然現れた六歳児の姿をした鬼は、ニコニコと両手を広げて歓迎している意志を示していた。
私は一度深呼吸をし、冷静を取り戻すと目を細めて言った。
「はぁ? 戯けたことを……」
「ふざけてないよ、お姉さん。
本当に僕は歓迎しているんだよぉ?
……君たちが
こいつ、本当に何言ってるの?
ますます意味がわからない、ムカつく。
「ふふっ、理解できないよね?
君みたいな
「はぁ、私、あんたの話に付き合ってる暇はないの。
要するに、何が言いたの? 」
「せっかちだなぁ〜、まぁ僕も、急がないと怒られちゃうからね。
お姉さんならきっと、もう分かってるだろうけど、
この山にはね、僕たち
やっぱり、 鬼は一人じゃない。
無惨が群れることを許すという事は、束ねているものは強いはず。
もしかして、十二鬼月?
「僕はもともとすごく弱かったんだ。
でもね、お兄ちゃんが救ってくれたんだ!
僕の家族は、ひとりぼっちで寂しかった僕を歓迎してくれた! 慰めてくれた!
だからね、僕も君たちを歓迎してるんだよ」
兄? 家族? どうゆうこと?
「でも……、やっぱり君は歓迎できないよ。
僕の家族の敵だもん!
だから、ごめんね」
そう言うと、繭で作られた玩具たちが一斉に襲いかかってきた。
「よかったね、君たち!
こんばんは僕以外のお友達と遊べるよ!
存分に
彼の表情は笑っているが、背後から感じる気配は殺気しか感じられなかった。
玩具たちは色々な方向からさまざまな攻撃を仕掛けてきた。
私は玩具たちと一定の距離を取りつつ、攻撃し続けた。
複数の個体に力を分散しているせいか、一つ一つの攻撃が単純だ。
それに、斬ってもすぐに再生する。
なかなか本体に近づけない。
……でも、不死川さんと比べたら全然弱い。
「全集中・風の呼吸 参ノ型!
己を中心に旋風の渦が逆巻くように攻撃を放つと、
周りにいた全ての玩具たちは散り散りに斬れていた。
これだけ一気に斬れば、本体の力を大きく削ぐことが出来るはず。
私は本体が困惑しているうちに、気配を隠した。
「え、え?
僕のおもちゃたちが、一瞬で。
あ! あのお姉ちゃんは……」
「歓迎してくれてありがとう。
そして、さようなら」
私はそのまま静かに鬼の頸を斬った。
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庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)
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