検索窓
今日:19 hit、昨日:4 hit、合計:25,856 hit

第二十六話 鬼の家族 巫兎視点 ページ29

突然現れた六歳児の姿をした鬼は、ニコニコと両手を広げて歓迎している意志を示していた。
私は一度深呼吸をし、冷静を取り戻すと目を細めて言った。

「はぁ? 戯けたことを……」
「ふざけてないよ、お姉さん。
 本当に僕は歓迎しているんだよぉ?
 ……君たちが観光(・・)をしに来ただけだったらね」

こいつ、本当に何言ってるの?
ますます意味がわからない、ムカつく。

「ふふっ、理解できないよね?
 君みたいな真面目(・・・)な女の子にはわからないよぉ〜」
「はぁ、私、あんたの話に付き合ってる暇はないの。
 要するに、何が言いたの? 」
「せっかちだなぁ〜、まぁ僕も、急がないと怒られちゃうからね。
 お姉さんならきっと、もう分かってるだろうけど、
 この山にはね、僕たち家族(・・)が暮らしてるんだ」

やっぱり、 鬼は一人じゃない。
無惨が群れることを許すという事は、束ねているものは強いはず。
もしかして、十二鬼月?

「僕はもともとすごく弱かったんだ。
 でもね、お兄ちゃんが救ってくれたんだ!
 僕の家族は、ひとりぼっちで寂しかった僕を歓迎してくれた! 慰めてくれた!
 だからね、僕も君たちを歓迎してるんだよ」

兄? 家族? どうゆうこと?

「でも……、やっぱり君は歓迎できないよ。
 僕の家族の敵だもん!
 だから、ごめんね」

そう言うと、繭で作られた玩具たちが一斉に襲いかかってきた。

「よかったね、君たち!
 こんばんは僕以外のお友達と遊べるよ!
 存分に楽しんでね(殺してね)

彼の表情は笑っているが、背後から感じる気配は殺気しか感じられなかった。
玩具たちは色々な方向からさまざまな攻撃を仕掛けてきた。
私は玩具たちと一定の距離を取りつつ、攻撃し続けた。

複数の個体に力を分散しているせいか、一つ一つの攻撃が単純だ。
それに、斬ってもすぐに再生する。
なかなか本体に近づけない。
……でも、不死川さんと比べたら全然弱い。

「全集中・風の呼吸 参ノ型! 晴嵐風樹(せいらんふうじゅ)! 」

己を中心に旋風の渦が逆巻くように攻撃を放つと、
周りにいた全ての玩具たちは散り散りに斬れていた。

これだけ一気に斬れば、本体の力を大きく削ぐことが出来るはず。

私は本体が困惑しているうちに、気配を隠した。

「え、え?
 僕のおもちゃたちが、一瞬で。
 あ! あのお姉ちゃんは……」
「歓迎してくれてありがとう。
 そして、さようなら」

私はそのまま静かに鬼の頸を斬った。

第二十七話 屍に背を向け、下山する 巫兎視点→←第二十五話 置いてかれました 村田視点



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
77人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:庵原史穂 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年12月22日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。