風柱の継子は冷徹少女ー最初の分かれ道ー【鬼滅の刃】 (ページ26)

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第二十三話　無駄にしない　巫兎視点ページ26

変わり果てた隊士たちの姿を見て、私は目を見開いていることしか出来なかった。

今から、助けに行っても意味がない。
とにかく早く鬼の頸を斬らないと。

「あ、あぁぁ！
　黒沢、西端！小竹まで！
　みんな……」
「……村田さん、今後の作戦を」
「どうして君は！そんな冷静でいられるんだ！
　仲間が！仲間が殺されたんだぞ！
　せめて、遺体だけでも綺麗に……」
「遺体なんて、持ち帰れる状況ですか？」
「なんてことを言うんだ！
　持ち帰るのは当たり前だろ！」
「それは隠の方がやってくださいます。
　とにかく鬼の頸を……」
「残酷なヤツだな！！
　今、助けなきゃ彼らの遺体はもっと！」
「仲間の死を弔っている場合ですか！？
　彼らの望みは何ですか！
　遺体を綺麗な状態で持ち帰る？フッ、違うでしょ？
　彼らの死を無駄にするかしないかは、私たちの行動にかかっているんです！」

私が睨みながら必死に訴えかけると、村田さんは唇を噛み締めながら頷いた。
納得してくれた姿に、私は少し安堵した。

「わかった。
　でも、どうすればいいんだ？」
「おそらく、この後に他の隊員も駆けつけてくるでしょう。
　二度とこの惨劇を繰り返さないためにも、この情報を彼らに共有する必要がる。
　だから片方がここにとどまり、片方が操ってる鬼を探して頸を斬る。
　これでどうでしょう？」
「いいと思う。
　そしたら俺が残るよ。
　志那戸辨さんの方が鬼を見つけることができそうだし。
　それに、階級が少しでも上の方が話を聞いて貰いやすいしね。
　俺、こう見えても庚(かのえ) だからさ」

村田さんが少し誇らしげに言うので、私も少し自信を持つことが出来た。

「わかりました。
　では、私が鬼の頸を探してきます。
　もし出来れば、あの小さい蜘蛛をできるだけ潰してくださいませんか？
　少ないことに越したことはないので」
「あぁ、できる範囲で潰しておくよ。
　さ、俺に構わず先に行ってくれ。
　君のおかげで対処法もわかったし、何を今最もするべきか見えてきたから。
　ありがとう」
「いえ、こちらこそ。
　私の言葉に耳を傾けてくださって。
　くれぐれも無理なさらないでください。
　最悪、下山しても構わないので」
「いや、それはカッコ悪いからしないよ」

私は村田さんにその場で一礼すると、高く跳び上がり、他の木の枝に移り飛んだ。
村田さんと意見を共有できたからだろうか、先ほどよりも体が軽くなったように感じた。
しかし、これは始まりに過ぎず、深くて暗い闇夜の戦いはまだまだこれからだった。