第十九話 継子承認試験 巫兎視点 ページ22
威勢のいい事を言ったものの、その後何発か攻撃を食らって気絶してしまった。
気がついた時はすでに日が暮れており、不死川さんの姿は何処にも見当たらなかった。
台所に行くと、少し冷めた夕食と手紙が置いてあった。
『志那戸辨へ
飯食って、風呂入って寝ろ。
風呂は水だけ溜めておいたから、自分で沸かせ。
あと、傷に塗り薬塗っとけ。
明日の早朝から稽古を始めるから、きちんと休んどけよ』
意外と面倒見がいいじゃない。
ご飯も作ってくださったし、お礼に何か……
『ちなみに、明日からこの屋敷の家事は全部お前がしろ』
……前言撤回!
強いのは認めるけど、絶対好きにはなれない。
これも試験の一環?
まぁ、教えてもらうかわりにって考えれば納得できる。
とにかくやるしかない。
そして次の日から本格的に厳しい稽古が始まった。
始まりは朝早く、夜遅くまで行われた。
もちろん、鬼は試験が終わるまで待ってくれるわけではないので、
任務にも行かなくてはいけなかった。
五時間ひたすら走ったり、一日中藁や竹を切り続けるなど、
単調で過酷なものが多かった。
特に一番辛かったのは “回避訓練” 。
名前の通り、不死川さんの攻撃をひたすら回避する、ただそれだけの訓練だ。
木刀を持たず避けるだけなのに、一番疲労と痛みを感じる訓練だった。
彼の中では手加減しているようだったが、私は全くそうは思えなかった。
何度死にそうになったか。
柱で強いのは分かるけど、殺す気で攻撃しないでよ……。
そんな過酷の訓練をしながら屋敷中の家事をしなくてはならないので、余計に大変だった。
そして困ったことに屋敷がとても広い。一人で住む広さじゃないくらいに広い。
おかげで掃除が大変だった。
しかし稽古の成果はあるようで、任務に行っても以前ほど怪我をしなくなった。
まぁ相変わらず、鬼を倒すまでには時間はかかっているけど。
そんなこんなで1週間は過ぎ、遂に試験の合否を教えてもらう日になった。
不死川さんは、私が1週間も耐えられるとは本当に思っていなかったようで、
とても驚いていた。
「本当に一週間耐えるとはな。
あえて厳しくしてたのによ」
「だから殺す気で攻撃してたんですか? 」
「あぁ、そうだ」
「信じられない……。
で、継子として認めて頂けるのでしょうか? 」
「はぁ、約束だからな。
意外と見込みがありそうだしな。
お前を継子として認めてやるよ」
良かった、認めてもらえて。
約束、破られるのかと思ってたから。
私が安心していると、鎹鴉が私の肩にとまり新しい任務を告げた。
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庵原史穂(プロフ) - 西村莉唯(りあ)さん» 西村莉唯様、温かいお言葉ありがとうございます。ご期待に添えるようこれからも精進して参りますのでよろしくお願い致します♪ (2022年3月6日 17時) (レス) id: 0038db6d5e (このIDを非表示/違反報告)
西村莉唯(りあ)(プロフ) - 更新したら私即見ます!なので頑張ってください! (2022年3月6日 16時) (レス) id: 929c6fdeb8 (このIDを非表示/違反報告)
庵原史穂(プロフ) - 夏美さん» ありがとうございます! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 0d9f41f564 (このIDを非表示/違反報告)
夏美(プロフ) - 更新頑張ってください! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 5adf9ec04a (このIDを非表示/違反報告)
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