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「コナンくんどういうことだ!なんで見せた!ていうかまだあの動画残ってたのか!」
「へっ、なに!?ひょれひゃめてAしゃん!!」
恥ずかしさ・羞恥・含羞に耐えきれず安室さんの前から逃げ出した私は、裏切り者のコナンくんへと駆け寄りその両頬をみょーんと伸ばす。
コナンくんは大層びっくりした様子でいらっしゃった。
あ、ほっぺめっちゃ柔らかい。
そのうえコナンくんにAしゃんて呼んでもらってしまった……良き……
可愛らしいコナンくんの姿に和んで怒りを鎮めた私は、彼の要望通り頬を伸ばす手を離してあげた。
若干恨めしげに私を見つめるコナンくん。
….いや、その目をしたいのは私の方だ。そのはずだ。
「アハハ、やっぱり仲が良かったんですね。」
安室さんが笑いながらこちらへやって来る。
そのセリフは例のパーティーの日とほぼ同じだが、あのときとは違って優しげな声だ。
ああ……もう既によしよしされたい……
「すみません…その節は苦労をかけました…」
「ああ、大丈夫ですよ。気にしないでください。」
「コナンくんも、私の事情に付き合わせちゃってごめん。」
「いーよ、結局僕も約束破っちゃったし。」
「お?罪の意識はあるようだな?」
再び頬を引っ張ろうと手を伸ばしたのだが、今度はがっちりガードされてしまった。チィッ。
・
午後十一時を少し回った頃。
ようやく安室さんとコナンくんによる推理ショーが始まった。
犯人は深山里子さん。
彼女は被害者の妻で、浮気性の彼についに業を煮やしたらしい。
こうして事件から解放された私は早速相手様の腕を引いてバーを後にした。
エレベーターに二人で乗り込み一気に一階まで降りる。
「今日はゆっくりとお話しできなかったね。また明日、誘っても良いかい?」
「…少し考えさせてくださいな。いろんなことがあって少々頭が回りませんの。」
とりあえず明日は安室さんによしよししてもらう予定だからパスです。
ああ、終わる……長かった一日がようやく終わる……
「そうだね、ゆっくり休んで。僕は十階で降りるよ、お休みなさい。」
「ええ、ありがとう。おやすみなさい。」
あ〜途中下車助かります〜
一人になったエレベーターの中でぐっと伸びをする。
一階に到着すると、控えめな音が鳴って扉が開いた。
心臓が止まる。
「ちょっと一緒に来てくれる?」
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作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時