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「え、お見合い?」
Xデーまで残すところあと三日となった今日、父から突然見合い話を持ちかけられた。
なんでも懇意にしている企業の社長からの提案で、彼の息子が齢三十をすぎても仕事人間で恋人の気配すらないのが心配なのだとか。
そこでその提案を断って余計な波風を立てたくないらしい父が、一応「前向きに考える」と返答してこの案件を持ち帰ってきたのだそう。
えっと。なんかこの設定聞いたことある。
確か私が安室さんと別れる口実を作ったときに生やした設定だ。
嘘から出たまこととはこのことか。
父は大変申し訳なさそうな顔をしている。
大方私の承諾なしに話を進めてしまったことに心を痛めているのだろう。
「一度お相手と会ったら『相性が悪い』とか何とか理由つけてお断りしてもオーケーだから…一度だけ会ってくれるかい…?」
「それは良いけど、日時は?」
「明後日の夜…」
って一番大変なときじゃん!
明後日といえばXデーの前日だ。
もっと後にずらせないのかと父に詰め寄るも、父は首を横に振った。
「確かに日時指定をしたのは向こうだけれど、まあ良いんじゃないかな?組織だってあのメルローがそんな大事なときにお見合いをするなんて、考えつきもしないと思うよ。」
「そりゃそうだろうけどさ…」
私が精神的に落ち着かない。
組織が血眼になって私を探しているかもしれない中、狙われている本人は悠々と男と会っている。
なんだそのシチュエーション。震えるわ。
「ちなみに僕も同席するけど、早い段階で『あとは若い二人で』って雰囲気になると思うから…」
「……分かった。ディスクは持ってかない方が良い?」
「いや、それは肌身離さず。確かディスクが閲覧可能になる時刻は、明々後日の午前0時だったかな?」
「…………………あっ、ウン。」
へ、へえ〜〜〜初耳〜〜〜!(目そらし)
ていうかやっぱりXデーってあの強制終了ディスクの閲覧可能日のことか!
じゃあパソコンとか持っ……いや流石に深夜0時までお見合いぶっ続けな訳ないわな……
とにかくお見合いは早いところ切り上げたい。
相手は仕事人間らしいし話が盛り上がることもなかろう。
久しぶりにオホホ系お嬢様で出陣すれば、さらに相手がドン引きして終了時刻が早まるかもしれない。
とにかく明後日は、早めに蹴りをつけてやろうではないか。
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作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時