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捜査は順当に進んでいるらしいものの、いかんせん捜査開始時刻は午後10時半過ぎ。
現在時刻は既に午後11時を回っていて、最近は大抵この時間に眠る私はうとうとし始めていた。
「お姉さん、眠い?」
そんな私のもとにコナンくんがとてとてとやって来た。
こてんと首を傾げて尋ねるものだから可愛らしい。
そのいかにも純朴な少年然とした様子を見た私は、警戒心などポーンとすっぽ抜け、問われるままに「うん」と頷いた。
めっちゃ眠いですよ。
コナンくんはパチパチと瞬きをすると、三人掛けソファに腰掛ける私の隣にちょこんと座った。
「さっき警察の人が来て順番に事情聴取始めてるから、頑張って起きててね。」
「私も聞かれるの、」
「うん。二時間前にこのフロアで過ごしてた人は、全員容疑者なんだって。」
マジか。
何人いるんだろう、その程度の感想しか出てこない。
眠い。
蘭ちゃんと園子様は小五郎さんに促されて部屋に戻っているらしい。
事情聴取は被害者の第一発見者である蘭ちゃんから始まって、聴取が終われば一旦解放されるようだ。
「お姉さん、佐藤千佳子さんていうの?」
「そうだけど…」
「あのハンカチね、持ち主見つかったみたい!昼間に引き止めちゃってごめんね。」
「いや、気にしてない。」
それよりも盗聴器の方が気になりすぎてだな。
・
しばらくコナンくんと話していると、私の事情聴取の順番が回って来た。
二時間前は何をしていたか、と問われたが自室にひとりでいたとしか答えられない。
そのときはコナンくんの影に怯えていたわけだが、実際私の部屋に突撃して来たのは安室さんだったので何だかしてやられた気分である。
……もしやコナンくん、盗聴の結果を安室さんに教えたのか?
それとも安室さんと一緒に盗聴してたか…
その後も聴取は続いたが、被害者との接点もなかったので比較的早めに解放された。
時刻を見れば既に深夜0時。
きゅるる、とお腹が鳴る。
そういえば夕食を食べ損なったままだった。
「事情聴取お疲れ様でした、千佳子さん。」
よろよろと部屋に向かう私を待ち構えていたのは、安室さんだ。
佐藤千佳子の名は当然のように彼にも伝わっているらしい。
「部屋までお送りします。」
何とも爽やかで、自然な微笑みを向けられた。
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作者名:しま | 作成日時:2018年4月29日 21時