＊ ページ10
.
二千二十年。
八月三十一日。
暑い日だった。
とても暑い日だった。
タンクローリーが、事務所に突っ込んだ。
そこに停められていた移動車とぶつかったそれは衝撃をもって辺りを吹き飛ばした。
多くの被害を出したその事故は、けれど誰一人として死人が出ず、タンクローリーの運転手ですら重傷ではあれど生きていた。
不思議な事はまだあって、爆発した筈なのに炎が上がらなかった。
奇跡だと言われた。
原因は未だ不明ではあるが、あの大事故で誰も命を落としていないのは奇跡だと。
命があるだけで良かったと。
その内情を知らない人達から、良かった、安心したと言われた。
頑張れとも、待ってるとも。
酷い戯言だと川島は思う。
いくら待ったって、もう二度と戻れないのだから。
あの事故に、多くの人が巻き込まれた。
スタッフや社員、そしてタレントも。
けれど殆どの人が軽傷や、酷くても骨折程度で済んでいた。
言わば復帰出来る事が分かりきっている怪我。
そんな中、そうでは無いグループが四つ存在した。
移動車を使用予定だったSnow Man。
事務所の外を移動中だったSixTONES。
レッスンのために事務所入り口に集合していたTravis Japan。
企画会議のため会議室にいたHiHi Jets。
彼等は被害が甚大だった一階にいた。
たまたま柱の影にいた宮舘と高地は、柱に依って衝撃が緩和された。
飲み物を買いに行っていた川島と、トイレに行っていた猪狩は廊下で鉢合わせ、そこで言葉を交わしている時に事故に巻き込まれた。
川島は咄嗟に猪狩を抱きしめ、運良く瓦礫の隙間に入り込んだ。
無事だったのはこの四人だけだった。
四人は大きな怪我も無く、入院も必要無いと判断された。
事実、彼等の傷は数日も経てば完治した。
万が一を考え検査のためにも結局入院はしたのだが、至って健康だった。
彼等だけ。
彼等だけが。
彼等の仲間達は、そうじゃ無かった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 321人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
user(プロフ) - bamさん» ありがとうございます！スローペースですが今後も楽しんでいただければ嬉しいです！ (7月9日 4時) (
レス) id: aa6a12d65e (このIDを非表示/違反報告)
bam(プロフ) - この先どうなるかドキドキしながら見守る気持ちです。更新楽しみにしています！ (7月8日 14時) (レス) id: e2f44e88a0 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 中身のないミカンさん» ありがとうございます、コメント嬉しいです！励みになります！ (2021年11月4日 3時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)
中身のないミカン(プロフ) - こちらの作品も他の作品も好きです。個人的好みなので更新楽しみです (2021年11月2日 5時) (レス) id: b0e448d7d6 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 名前しずくさん» ありがとうございます！その言葉がモチベーションに繋がります！嬉しいです！ (2021年10月30日 0時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：user | 作成日時：2021年10月28日 3時
