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その日の内に、猪狩は行動を起こした。
同じ様に当ても無く院内をふらつく高地を捕まえ、メンバーの母親と話していた宮舘の間に割って入り、病室を追い出された川島に二人を引き連れて声を掛けた。
する事の無かった高地も、詰られて疲弊していた宮舘も、また一つ傷を負った川島も、拠り所となっている彼の話を静かに聞いた。
神様がいるんだって、事務所に祠があって、知ってた?
アイドルなら、俺らを思って作られた神様なら、叶えてくれるかもしれない。
ねぇ、行ってみようよ。
捲し立てる猪狩の言葉は夢物語でしか無い。
それでも、久し振りに虚ろだった猪狩の瞳に光が灯っていて。
四人の中でも一人だけ年の離れた彼の話を聞き入れてやりたいと思ったのだ。
まだどこか幼い彼が、それで満足するのなら。
そして、もし本当に願いが叶うのなら。
試すだけでも、きっと意味はある。
善は急げと言うだろう。
動かないと暗い思考に絡め取られて沈んでしまうと彼等は知っていた。
だから彼等は夜も遅いその時間に病院を飛び出して、着の身着のまま事務所へ向かった。
体力の落ちている体にはなかなか厳しい道のりだった。
まだ週刊誌の記者らしき人達がいる事に川島が気付き、休憩も兼ねて彼等が去るのを待った。
そうして人がいなくなる頃には夜も更けていた。
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user(プロフ) - bamさん» ありがとうございます!スローペースですが今後も楽しんでいただければ嬉しいです! (7月9日 4時) (レス) id: aa6a12d65e (このIDを非表示/違反報告)
bam(プロフ) - この先どうなるかドキドキしながら見守る気持ちです。更新楽しみにしています! (7月8日 14時) (レス) id: e2f44e88a0 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 中身のないミカンさん» ありがとうございます、コメント嬉しいです!励みになります! (2021年11月4日 3時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)
中身のないミカン(プロフ) - こちらの作品も他の作品も好きです。個人的好みなので更新楽しみです (2021年11月2日 5時) (レス) id: b0e448d7d6 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 名前しずくさん» ありがとうございます!その言葉がモチベーションに繋がります!嬉しいです! (2021年10月30日 0時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:user | 作成日時:2021年10月28日 3時