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「川島?」
扉に凭れ掛かってぼんやりしていると、不意に声を掛けられた。
はっとして声のした方を向く。
「……舘さん。」
宮舘は川島にうん、と頷いて病室へ視線を向ける。
入り口にある名札を見て、再び口を開く。
「中村、大丈夫そうなの?」
「いや、相変わらずです。……さっきも錯乱して、鎮静剤打たれちゃって。」
そうかぁと呟いた宮舘は俯く川島の髪の毛を避けて、その顔を覗き込んだ。
視線は交わらない。
「……顔色、悪いよ。寝てる?」
「……あんまり、」
「だろうね。」
そう言って、優しく目の下の隈を撫でた。
川島は言わないけれど、宮舘だって酷い顔色だ。
きっと今はメンバーの誰かの所にいるのだろう高地や猪狩だって、会う度に窶れていく。
__負い目が、重た過ぎる。
動く事もままならない。
腕や脚が動かない。
腕や脚が、無い。
記憶が曖昧だ。
酷い裂傷。
声が出ない。
目が見えない。
意識が保たない。
意識が、戻らない。
毎日毎日、苦しんで疲弊していく仲間達。
声なんて届かない。
自分達の存在が、仲間達を傷つけていると知っている。
苦しい日々に暴れて、もがいてる彼等に、自分達はきっと毒だ。
それでも手を離す事はしたく無かった。
出来る事をして、彼等を支えたかった。
……そうでもしないと、気が狂いそうだった。
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user(プロフ) - bamさん» ありがとうございます!スローペースですが今後も楽しんでいただければ嬉しいです! (7月9日 4時) (レス) id: aa6a12d65e (このIDを非表示/違反報告)
bam(プロフ) - この先どうなるかドキドキしながら見守る気持ちです。更新楽しみにしています! (7月8日 14時) (レス) id: e2f44e88a0 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 中身のないミカンさん» ありがとうございます、コメント嬉しいです!励みになります! (2021年11月4日 3時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)
中身のないミカン(プロフ) - こちらの作品も他の作品も好きです。個人的好みなので更新楽しみです (2021年11月2日 5時) (レス) id: b0e448d7d6 (このIDを非表示/違反報告)
user(プロフ) - 名前しずくさん» ありがとうございます!その言葉がモチベーションに繋がります!嬉しいです! (2021年10月30日 0時) (レス) id: bc32234889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:user | 作成日時:2021年10月28日 3時