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とりあえずそんな感じで、谷地さんは非常に彼らを心配していた。こっちから連絡を取ってみるね、心配しなくて大丈夫だよ、と切って、影山くんの携帯にかける。今のところは旅館も落ち着いているし、最悪私が迎えに行けるだろう。

「……あ、もしもし、影山くん?」
『ああ。どうした』
「谷地さんから話を聞いたのだけれど、とりあえず、帰り道は分かる?」
『…………日向』
「……要件が終わったら、迎えに行くね」

日向くんはお家からかなり離れたあの場所に行くことはないと思うので、多分彼も分からないだろう。それに影山くんの息が若干上がっているのと、タンタンと子気味よく続く音がまだ牛島さんと一緒に走っているという証拠だった。

彼らに直接電話で道案内をしてもいいのだが、方向音痴は油断してはならない。大人しく相坂さんに外出する旨を伝えて、最低限の荷物だけ持って家を出る。

今日は着物なので少し通行人に見られる。いつものことだが、やはり少し恥ずかしかった。一人で出歩くとすぐ注目を集めてしまうから、着物で歩くのは他の誰かがいる時か人気のない道を歩く時くらいにしているのだが、今日はそうも言っていられない。

電車に乗って白鳥沢の最寄りで降りる。さて彼らの用事は終わっただろうか、と思いながら早足で白鳥沢へ向かうと、ロードワーク中の人達が見えた。あの中に混ざっているのかな、と思ったけれど、見知った後ろ姿はない。

「……あ」

ひらりとその集団の中からタオルが落ちた。パッと一瞬で私の横を通り過ぎてぐんぐんと見えなくなっていく背中に慌てて声をかけるが、そんな私の小さな声は勿論聞こえていない。

行先は同じだし、仕方ない。牛島さんにお渡ししよう、とアスファルトの上に落ちたタオルを拾って、手で砂や小石を軽く払う。そのまま腕にかけてカランと下駄を鳴らした。

白鳥沢に着いてすぐに警備員さんに事情を説明する。本当に無断で入ったらしく、警備員さんもそんな子はみていない、と困っていた。連れて帰ります、と言うと、そうしてください、と苦笑していた。私が苦労をかけられていると思ってくれたのだと思う。

「……こら、二人とも」
「えっ、神風さん!?」

体育館らしき場所を見つけて近づくと、彼らは二人して校門に向かっている最中だったらしい。こちらに向かって駆け寄ってくる。

「せめて入る時は許可をもらってからではないと駄目だよ。警備員さんも、驚いていたし……」
「うっ、ご、ごめんなさい……」
「誰だ」

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ReG(プロフ) - なこさん» 閲覧して頂きありがとうございます。今後も読んでくだされば幸いです。 (2022年4月18日 14時) (レス) id: d40d8fc65b (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - とてもおもしろくてすいすい読めて読み応えがあります(^-^)/ 更新楽しみにしております(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)” (2022年4月2日 19時) (レス) @page22 id: 5054bb840e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ReG | 作成日時:2022年3月22日 15時

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