何でも屋の変人たちよ

新たな白虎 ページ7

武装探偵社が白虎捕獲の依頼を受けていると知ったのは、その直ぐ後だった。

ここは事情を話して、白虎捜索を手伝ってもらうか手を引いてもらうか。

普通に考えればその二択だった。

ならば選択肢は一つだろう。

探偵社に色々押し付けて自分は楽をする。

最高の選択肢ではないか。

「ンなわけないでしょう。探偵社は既に白虎を探しているはずです。早く行け」

自身の机で書類仕事をしていたはずの創が、手刀を落としてきた。

これでも成人している創の左腕はそれなりの攻撃力があった。

超痛い。

「てか声出てた？」

「丸聞こえです」

頭を抑えながら問えば、また一刀両断される。

最近の男の子はどこでそんな、言葉の暴力を覚えてくるのだろうか。

お姉さん悲しい。



「てわけでさ、ちょっと協力してほしいことがあるんだよね」

「一寸待て」

とある喫茶で目の前に座るのは、ポートマフィア幹部の中原中也だった。

彼は、あからさまに嫌そうな顔をしていた。

私が彼を呼びつけたのには理由がある。

白虎捕獲について、私は任務を遂行できないからだ。

探偵社、つまり太宰が捕獲に関わっているならば尚更。

太宰のように頭が良いわけでも、乱歩のように並外れた推理力があるわけでもない。

だから、そんな探偵社が相手では私一人では太刀打ちできない。

なので安吾に許してもらうための新たな白虎が必要になったのだ。

「だから、探してほしいんだよね。白虎」

「いや、無理だろ。白虎って絶滅危惧種だぞ」

「え、無理なの？流浪の民的なサーカス集団とか」

「ンな奴らはヨコハマに来ねぇよ」

「それな」

「じゃねぇよ」

冴え渡るツッコミを笑っていると、ため息を吐かれた。

白虎が絶滅危惧種というのは初耳だったので、別の手を考えようとしていた。

「まァ、当てはある」

「嘘だろ…」

今度は私がツッコミを入れる番だった。

元から当てにしていたわけではないので、そんな返答が来るとは思っていなかった。

「俺たちも白虎を追ってるからな。
捕獲が失敗したときに首領に許してもらうための小さい虎がいたはずだ」

「マフィア平和過ぎない？？？」

ヨコハマの裏社会を牛耳るマフィアの新たな一面に首を傾げた。

とりあえず当てになりそうだから良いんだよな。

大丈夫なはずだ、多分。

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