のんびり3.5日目 ページ8
『約束の時間ですね。』
石切丸さんと現世に行く約束の時間。
集合場所の門前で石切丸さんを待つ。
待ってる時間どんどんと不安が高まっていきます。
石切丸さんと並んで歩く……
緊張します…
「おや、待たせてしまったかい?」
石切丸さんの声。
『いえ、時間ぴっ…たり、ですし…っ!!』
確かに石切丸さんの声だったものの、目の前に立っているのは現世の服に身を包んだ石切丸さん。
いつもの格好も十分すぎるぐらい格好いいのですが、現世の服…刺激が…
『あっ、あっ、えーっと、その…』
「うん、現世の服を着た主さんもとても素敵だね。」
眩しすぎるほどの笑顔で言ってくださる石切丸さん。
お世辞でも嬉しいです。
私も伝えなきゃ
『石切丸さんも、とてもとても格好いいですよ!』
「そうかい? ありがとう。」
なんだかおなかいっぱいです。
石切丸さんの笑顔に砂糖でも含まれているのでしょうか。
「あぁ、それでは行こうか。翡翠。」
少し目線を落とし、私の耳元で囁いた。
『っ!!! もう! なんでそう呼ぶんですか!』
「現世で主さん呼びだと恥ずかしいのは翡翠だろう?」
うっ…正論すぎて何も言えません…
石切丸さんの配慮ですし…
とはいえ、満足気な笑顔の石切丸さん。
それなら私だって!
『行きましょう、石切…丸。』
初めて呼んださん付けではない彼の名前。
これは…
私の方がダメージをくらってしまいますね。
恥ずかしすぎて火が出そうです…
肝心の石切丸さんはびっくりした顔は一瞬してくださったもののすぐにいつもの笑顔に戻っていますし…
「あのー、そろそろよろしいですか?」
気まずそうに入ってきたのは転送のために手伝ってくれるこんのすけ
『あぁ! ごめんなさい、お願いします!』
もう、しばらく石切丸さんに仕返しをするのはやめときます。
そろそろ気を取り直し、
「『行ってきます。』」
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作者名:雪ミナト | 作成日時:2018年9月25日 2時