名を付けるならなんと呼ぶ【ONEPIECE】 (ページ25)

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IV テルミヌスを蹴る兇徒ページ25

テルミヌスを蹴る兇徒┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
テルミヌスをけるきょうと

トラファルガー･ローと名乗ったその人は、
どうやら私に血を与えてくれた恩人だった。

最低限の言葉数で事情は聞いてくるけれど、やっぱり此方への警戒はそう簡単に解かない。

自己紹介はしたものの、助けた恩を大袈裟に売るつもりは無さそうだが、何か知りたい事があるのだろう、というのは明白だった。

でもそれくらいが丁度いい。1人で長い事旅をしてきたAにとっては、見返りのない無償の優しさの方が余っ程不気味だし恐ろしく感じる。

ローは昨日追いかけていた野蛮な海賊連中とは随分と違うみたいだ。
判断力に優れていて、合理的且つ冷静な態度。胡乱気な目は簡単には感情を宿さない。しっかりと線引きされているその淡白な態度は、心地よく、その冷たさが、どうにもAを安心させた。

「大したことじゃないです。」

だから、きっと己の事情を話した所で、
中途半端な同情で首を突っ込んできたりはしないだろう。そうAは判断した。

これは、そんなに簡単に首を突っ込んでいい話じゃない。
それなりの決意、そして犠牲も厭わない覚悟が無ければ、おいそれと関わって無事で居られる案件では無いのだ。