名を付けるならなんと呼ぶ【ONEPIECE】 (ページ15)

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Ⅲ 曹灰硼石の側面ページ15

曹灰硼石の側面┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ウレキサイトのそくめん

「ありがとうございます。」

目覚めた少女は、静かに自分の姿や周囲を見渡した後、助けたと言った俺に対して、真っ先にそう言った。

昨晩少女を連れ帰ってきた後、まず多少残っていた外傷を簡単に手当した。
血で随分汚れていた服のままベッドに寝かせる訳にもいかず、仕方なく服も脱がし、代わりに適当な自分の服を着せておく。

それからは、いつ目覚めるかも分からない少女を一晩、監視していた。

1人で海賊を相手していたのだ。どんな事情があるか正確に予想するのは難しい。
荷物や服装などを確認していた為、ある身分の程度予測は立てていたが、彼女自身がどんな人間なのかを俺は知らない。
ついでに言えば彼女も俺の事は知らないのだ。
目覚めた瞬間攻撃を仕掛けてくる可能性も大いにある。

いつでも能力を発動できる状態で、最大限の警戒をしながら。

そうして、少女の手当てを終えてから数刻経過し、外の景色がうっすらと白み始めて来た時。
ふる、と少女の睫毛が揺れて、その数秒後、ゆっくりと瞼が持ち上げられた。

寝顔だけでも随分と整った顔立ちだな、と感じていたが。開かれた瞳はぱちりと大きくてまだ幼い。長い睫毛で縁取られているお陰もあって、実際より大きく見える。

目を開けると、その少女の綺麗さはより強く、存在感を放っていた。

さらに、開かれてようやく覗いた少女の瞳の色に、ローはつい、息を飲んでしまった。
見た事もない、初めての色をしているそれは、ただでさえ強い存在感を放つ少女を、より鮮明に、強く印象付けている。

だが此方も最大限少女の動きに警戒をしていたのだ。そんな内心を悟られるようなヘマをローはしない。
ほんの少しの動揺をおくびにも出さず、警戒を緩めなかったローに対し、きょろきょろと見渡し周囲の状況を確認した少女は、なんの迷いも疑いも無く、まず冒頭の言葉を吐いたのである。

その時点で既に、気まぐれでした『拾い物』は悪くない選択肢だった、とローは確信した。